2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨移植不要の椎間固定材料としての表面処理多孔体チタンの骨形成能の比較研究
Project/Area Number |
21591898
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根尾 昌志 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80311736)
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Keywords | 生体活性 / チタン / 脊椎 / インプラント / 固定術 / 骨誘導 |
Research Abstract |
他の研究によりアルカリ希塩酸加熱処理チタンよりも、混酸加熱処理チタンの方が骨形成能に優れる可能性が示唆されたため、予定していた前臨床研究である、アルカリ希塩酸加熱処理チタン製椎間スペーサーを用いたイヌの椎体間固定実験を凍結し、アルカリ希塩酸加熱処理チタンと混酸加熱処理チタンの骨誘導能を比較した。希塩酸加熱処理チタンは純チタンを60℃の5MNaOH溶液に24h浸漬した後、脱Naのため40℃の50mMHCl溶液に24h浸漬した。その後超純水で洗浄し、大気中で600℃、1hの加熱処理を行った。混酸加熱処理チタンでは純チタンを、66.3%H2SO4(w/w)溶液と10.6%HCl(w/w)溶液を1:1に混合した混酸溶液を70℃に加熱し、その中に1h浸漬した。その後、超純水で洗浄し、大気中で600℃、1h加熱し、炉冷した。それぞれのチタンポーラス体をビーグル犬の背筋内に埋入し、気孔内に誘導された骨量をvon Gieson and Stevenel's blue染色で評価した。6か月では、アルカリ希塩酸加熱処理チタン9.1±4.2%、混酸加熱処理チタン10.2±5.3%で有意差がなく、12か月ではアルカリ希塩酸加熱16.7±6.3%、混酸加熱16.0±6.4%とやはり有意差がなかった。以上のように、予想に反してこの2者では骨誘導能において差を見いだせなかった。最近では、金属表面のゼータ電位が骨誘導能において重要であるという研究結果が示されているため、この2者のゼータ電位を測定してみたが差が無く、これが骨誘導能に差のない原因かもしれない。
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