2009 Fiscal Year Annual Research Report
加齢的運動器変性に及ぼす運動療法の効果-老化促進マウスを用いた基礎的研究-
Project/Area Number |
21591900
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米 和徳 Kagoshima University, 医学部, 教授 (40182844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 史代 鹿児島大学, 医学部, 助教 (70437953)
榊間 春利 鹿児島大学, 医学部, 准教授 (10325780)
吉田 義弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10107906)
井尻 幸成 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (00315417)
小宮 節郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30178371)
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Keywords | 老化 / オートファジー / 神経変性 / 関節軟骨変性 / 老化促進マウス / Beclin / NO / 運動療法 |
Research Abstract |
老化促進マウス(SAM)を50週齢まで飼育し、無作為に1日20分のトレッドミル上の走行を2回行うSAM58週齢運動群、トレッドミル上の走行を行わないSAM58週齢群の2群に分け、8週後(58週齢)に屠殺した。また、対照として12週齢の老化促進マウス(SAM12週齢群)と58週齢のICRマウス(ICR58週齢群)を用いた。 1. 脊髄の観察 腰髄膨大部を摘出し、凍結固定し、凍結切片を作製した。HE染色、Nissl染色、KB染色を行い、前角細胞の数と形態、神経線維の変性を観察し、老化と運動が脊髄神経組織に及ぼす影響を組織学的に検証した。オートファジー関連蛋白であるBeclinと神経の変性に関与していると報告されているnNOSについて免疫染色を行い観察した。その結果、SAM58週齢群の腰髄部において、加齢に伴う神経変性と前角細胞の有意な減少を認めた。また、Beclin陽性細胞は有意に減少し、抗nNOS抗体陽性細胞は有意に増加していた。SAMでは、老化に伴い腰髄部の神経は変性していた。オートファジーの減少とNOの増加が老化に伴う神経変性に関与することが示唆された。 2. 関節の観察 膝関節を摘出し、凍結固定し、凍結切片を作成した。トルイジンブルー染色と抗TNF-α染色を行い、軟骨細胞の変性とTNF-αの発現を観察した。その結果、SAM58週齢群ではSAM58週齢運動群とICR58週齢群と比較して軟骨層の厚さと軟骨細胞面積が有意に減少していた。SAM58週齢運動群ではSAM58週齢群に比べTNF-α発現細胞が有意に減少していた。SAMでは、老化により軟骨細胞および軟骨基質の変性が生じていた。適度な運動によるメカニカルストレスは軟骨変性に対して健常な刺激として作用し、TNF-αの発現を抑制する可能性が示唆された。
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