2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体吸収材料および自家多血小板血漿を用いた骨芽細胞誘導による脊椎固定術の開発
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21591903
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
長谷 斉 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 准教授 (00172883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 靖夫 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (80360030)
池田 巧 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (40453120)
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Keywords | 多血小板血漿 / ゼラチンβTCPスポンジ / 骨癒合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多血小板血漿(platelet-rich plasma:以下PRP)とゼラチンβ-tricalcium phosphateスポンジ(以下ゼラチンβ-TCPスポンジ)による骨癒合法を開発することである。平成21年度には、ラットの腰椎後側方固定モデルを用いて、本法が骨癒合に与える影響について検討を行った。SDラット(雄、8週齢)のL4、5横突起の骨皮質をスチールバーで掘削した。横突起問に以下のマテリアルを設置し、5群〔1: PRP含浸ゼラチンβ-TCPスポンジ(以下PRPスポンジ)、2: platelet poor plasma含浸ゼラチンβ-TCPスポンジ(以下PPPスポンジ)、3: PRP含浸ゼラチンハイドロゲル粒子(以下PRPゲル)、4: 自家腸骨、5無設置〕を設定した(各群10匹)。術後5および10週で単純X線像を撮影しL4、5横突起間の骨形成を評価した。術後10週で腰椎を摘出し、徒手検査で横突起間の可動性の有無を判定した。また、μCTを用いてL4、5横突起間の骨癒合および骨量を評価した。さらにHE染色でL4、5横突起間の組織学的検討を行った。術後5および10週の単純X線像では、PRPスポンジ群と自家腸骨群に骨形成を認めたが、他の群では認めなかった。徒手検査ではPRPスポンジ群8例と自家腸骨群7例を可動性なしと判定したが、その他の群ではすべて可動性を認めた。μCTではPRPスポンジ群8例と自家腸骨群7例に横突起間の骨癒合を認めた。骨量はPRPスポンジ群では、他の群と比較して有意に高値であった。組織学的評価ではPRPスポンジ群と自家腸骨群で、骨癒合部位に一致して皮質骨と骨髄腔の形成を認めた。PRPは自己血液からの精製が可能であり多種の内因性成長因子を含有する。また、ゼラチンβ-TCPスポンジは、成長因子の徐放作用を持つゼラチンと、骨伝導能を持つβ-TCPを混合し多孔体に加工した生体吸収性の足場である、本研究でPRPとゼラチンβ-TCPスポンジを組み合わせることにより自家骨移植と同等の効果が得られたことから、本法は有用な骨癒合法となる可能性がある。以上の結果をまとめ、第25回日本整形外科学会基礎学術集会に演題応募中である。
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