2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷2次障害に対するG-CSF・SCF併用療法(小胞体ストレス応答の解析)
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21591907
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 雅彦 東海大学, 医学部, 准教授 (40220925)
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Keywords | 脊髄損傷 / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 小胞体ストレス / GRP78 / CHOP/GADD153 / アポトーシス |
Research Abstract |
成熟脊髄にもオリゴデンドロサイト前駆細胞は豊富に存在し,種々の刺激により増殖するが,脊髄圧挫損傷では十分な再髄鞘形成は得られない.その一因として遅発性細胞死が考えられるが,近年中枢神経における遅発性細胞死の経路として小胞体ストレスが着目されている.小胞体ストレスに対して保護的に作用する小胞体シャペロンGRP78とアポトーシスを促進する転写因子CHOPについて、vivo, vitroの実験において小胞体ストレス応答について解析した. 【In vitro】ラットC6細胞株へ,GRP78と同時にGFPを発現するベクターにGRP78遺伝子をエレクトロポレーション法で導入し48時間培養した(GRP78群)。GRP78群と非導入群に過酸化水素1, 3, 6μMを1~2時間添加し、アポトーシスを生じた細胞はAnnexinVとPIで染色して識別し、コントロール群とGRP78群におけるGFP陽性細胞(GRP78のタンパク質を発現中の細胞)のAnnexinV/PI陽性率(A/P)をFACSで解析した。結果、遺伝子を導入してGRP78を発現させた細胞のA/Pが低いことから、In vitroの実験系において酸化ストレスによるアポトーシスからGRP78が細胞を保護した可能性が示唆された。 【In vivo】ラット脊髄損傷後の遅発性細胞死における,損傷強度と細胞種による小胞体ストレス応答の発現の差を組織学的に検討した.SDラットを椎弓切除し,IH-Impactor(100kdyne・200kdyne)を用いて胸髄圧挫損傷モデルを作成し,損傷後1, 3, 5, 7日(各n=5)に損傷中心部より5~10mm遠位部の脊髄横断切片を作成し,GRP78とCHOPを各種細胞マーカー(NeuN, GFAP, APC, NG2)と二重免疫染色を行い,高度損傷群(HI群)と軽度損傷群(LI群)の発現と細胞腫による差を比較した.損傷直後よりGRP78は両群で強発現するが、CHOPはHI群の7日目においてのみ有意な発現の増加を認めた.細胞保護作用を小胞体ストレス応答には一定の限界があり、ストレスが過度の場合にはアポトーシスへ至ることがin vivoでも示唆された.小胞体ストレス応答能力には細胞種による差がみられ、アストロサイトが最も高く、オリゴデンドロサイト前駆細胞が低い結果であり、グリア瘢痕形成や再髄鞘形成障害に関与している可能性が考えられた.
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Research Products
(3 results)