2011 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷2次障害に対するG-CSF・SCF併用療法(小胞体ストレスの解析)
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21591907
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 雅彦 東海大学, 医学部, 教授 (40220925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隅山 香織 東海大学, 医学部, 助教 (20433914)
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Keywords | 脊髄損傷 / 二次損傷 / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / アポトーシス / 小胞体ストレス / GRP78 / CHOP/GADD153 |
Research Abstract |
成熟脊髄にもオリゴデンドロサイト前駆細胞(以下OPC)は豊富に存在し,種々の刺激により増殖するが,脊髄圧挫損傷では増殖したOPCは遅発性細胞死により消滅し十分な再髄鞘形成は得られない.我々はその原因として小胞体ストレス経路に着目し、小胞体ストレスに対して保護的に作用する小胞体シャペロンGRP78とアポトーシスを促進する転写因子CHOPについて、in vivo,in vitroの実験において小胞体ストレス応答について解析した。In vitroの実験系においては、ラットC6細胞株にGRP78遺伝子を導入し、培地に小胞体ストレス誘導薬剤であるツニカマイシンまたはLグルタミン酸を投与して培養し、その生存率をコントロール群とGRP78導入群で比較した。結果、全てのツニカマイシン投与下とLグルタミン酸投与下で、GRP78導入群の生存率は有意に増加し、GRP78の小胞体ストレスに対する細胞保護効果が示唆された。In vivoにおいては、マウス脊髄圧座損傷モデルにおいて、SCFとG-CSFの投与により骨髄由来や内在性細胞の増殖活性化を認め,またこれらの増殖活性化されたマイクログリアやマクロファージの神経保護作用,神経栄養作用,貪食作用によると考えられる運動機能の改善を認めた.また、ラット脊髄圧座損傷モデルにおいて、細胞種による小胞体ストレス応答の発現の差を組織学的に検討した。結果、GRP78発現がアストロサイトで最も高く、対照的にCHOPは低い傾向にあり、アストロサイトは小胞体ストレス応答能が高く、このことが損傷後のグリア瘢痕形成に関与している可能性が考えられた。また、対照的にOPCではGRP78発現が有意に低い結果にあり、小胞体ストレス応答能が低く、再髄形成の阻害因子となっている可能性が考えられた。以上の結果より、オリゴデンドロサイト前駆細胞の分化抑制には小胞体ストレスによるアポトーシスが関与しており、小胞体ストレス応答能を高めることによりアポトーシスの抑制、再髄鞘形成へとつながる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)