2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨折治癒過程におけるマクロファージ遊走阻止因子の役割とその制御による効果の解明
Project/Area Number |
21591909
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野寺 伸 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特任講師 (00359481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 晴一 北海道大学, 大学病院, 准教授 (60301884)
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
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Keywords | 骨折治癒 / マクロファージ遊走阻止因子 / 力学試験 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
【はじめに】マクロファージ遊走阻止因子(Macrophage migration inhibitory factor:以下MIF)は、マクロファージを制御する重要な液性因子として注目されている。しかし、骨折治癒とMIFとの関連については明らかではない。本研究の目的は、MIF-ノックアウト(KO)マウスを用いて、骨折治癒過程におけるMIFの役割を検討することである。【方法】雄10週齢のwild-typeマウス(WT群)16匹とMIF-KOマウス(KO群)16匹を用いた。右脛骨骨幹部中央をsagittal plane sawにて骨折作製後、スパイナル針を用いて髄内釘固定し、骨折モデルとした。左脛骨は骨折を行わずスパイナル針による髄内釘固定のみ行った。骨折作製後6週および12週にて8匹ずつマウスを屠殺し両側の脛骨を採取し、5mm/minの速度で3点曲げ力学試験を行った。得られた荷重-変位曲線から最大破断荷重および線形剛性を求め、対健側比を算出した。統計学的分析にはt-検定を用い、有意水準は5%未満とした。【結果】(1)破断様式:6週および12週における偽関節は、それぞれWT群2例および0例、KO群3例および1例において認められた。(2)術後6週:最大破断荷重はWT群63.2%およびKO群47.6%、線形剛性はWT群96.3%およびMK群55.5%であり、MK群が有意に低値を示した(各p<0.05)。(3)術後12週:最大破断荷重はWT群77.6%およびMK群66.7%、線形剛性はWT群92.7%およびMK群97.5%であり、両群に有意差は認められなかった。【考察】本研究において、骨折作製後6週におけるKO群の最大破断荷重および線形剛性は、WT群のそれと比較し有意に低値を示したが、術後12週ではその差は認められなかった。以上の結果は、骨折治癒過程において、MIFが何らかの役割を果たしていることを示唆した。
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Research Products
(6 results)