2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨折治癒過程におけるマクロファージ遊走阻止因子の役割とその制御による効果の解明
Project/Area Number |
21591909
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野寺 伸 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任講師 (00359481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 晴一 北海道大学, 病院, 准教授 (60301884)
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
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Keywords | 骨折治癒 / マクロファージ遊走阻止因子 / 骨形態計測 / 遺伝子発現 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
【はじめに】マクロファージ遊走阻止因子(Macrophage migration inhibitory factor:以下MIF)は、マクロファージを制御する重要な液性因子として注目されている。しかし、骨折治癒とMIFとの関連については明らかではない。本研究の目的は、MIF-ノックアウト(KO)マウスを用いて、骨折治癒過程におけるMIFの役割を検討することである。【方法】雄10週齢のwild-typeマウス(WT群)とMIF-KOマウス(KO群)を用いた。脛骨骨折モデルを作製した。骨折後7,14,21,28日に軟X線撮影を実施し仮骨面積の計測を、骨折後14,28日にVillanueva bone染色を実施し骨形態計測を行なった。また、骨折後3,7,14,21,28日にリアルタイムRT-PCRを施行し骨折治癒に関連する諸因子の遺伝子発現について検討した。統計学的比較にはANOVAおよびt-検定を用い、有意水準は5%とした。【結果】(1)軟X線撮影では、WT群の仮骨面積に比べKO群の仮骨面積は小さく、骨折後14日にて有意差を認めた(p<0.05)。(2)骨形態計測では、類骨量は骨折後14,28日でKO群が有意に高値を示し、骨石灰化速度および破骨細胞数は骨折後14日でKO群が有意に低値を示した。(3)骨折後21日でMMP-2,MT1-MMP,カテプシンK、およびアルカリホスファターゼmRNAの発現がKO群で有意に低値を示した。【考察】KO群では破骨細胞数減少による線維状骨の骨吸収の遅延ならびに骨石灰化に関与する因子の遺伝子発現減少による類骨の石灰化の遅延によって、骨折治癒早期における仮骨の構造特性が低下する結果となったことが推察される。これらの知見を併せMIFが骨折治癒に関与するメカニズムについてはさらに詳細な検討が必要である。
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