2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨折治癒過程におけるマクロファージ遊走阻止因子の役割とその制御による効果の解明
Project/Area Number |
21591909
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野寺 伸 北海道大学, 大学院・医学研究科, 客員准教授 (00359481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 晴一 北海道大学, 北海道大学病院, 准教授 (60301884)
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
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Keywords | 骨折治癒 / マクロファージ遊走阻止因子 / 力学試験 / 骨髄細胞 / 石灰化 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
【はじめに】マクロファージ遊走阻止因子(以下MIF)の骨折治癒との関連については明らかではない。本研究の目的は、MIF-ノックアウト(KO)マウスを用いて、骨折治癒過程におけるMIFの役割を検討することである。【方法】(1)8週令MIFKOおよびwild-typeマウス(WT)各3匹を用い、大腿骨および脛骨を摘出して骨髄細胞を採取し、24wellplate上で28mMアスコルビン酸、10mMβグリセロリン酸および2mMのL-グルタミン酸を含む培地で培養し骨芽細胞に分化誘導した。培養後14,21,28日目でvon Kossa染色を行い石灰化面積を定量した。(2)10週齢WT雄10匹を用い右脛骨骨折を作製し、骨折局所にリコンビナントMIF5μg/PBS10μlを投与した群5匹(MIF群)とPBS10μlを投与した群5匹にわけ、骨折後42日目でマウスを屠殺し両側の脛骨を採取した。3点曲げ力学試験を行い最大破断荷重および線形剛性を求め、対健側比を算出した。統計学的比較にはt-検定を用いた。【結果】(1)石灰化面積は培養後14日目でWT群0.90±0.23mm2、MIFKO群0.97±0.74mm2、培養後21日目でWT群1.15±0.84mm2、MIFKO群8.46±15.51mm2、培養後28日目でWT群29.24±5.82mm2、MIFKO群25.66±2.64mm2となり、いずれも両群間に有意差を認めなかった。(2)骨折の非治癒例はMIF群で5匹中2匹、PBS群で5匹中1匹であった。残りを検討したところ、最大破断荷重および線形剛性の対健側比はMIF群で31.7%および38.7%、PBS群では48.1%および87.2%であった(p=O.31およびp=O.10)。統計学的有意差はないが、MIF群の方が力学強度が低い傾向にあった。【考察】我々はMIFKOマウスの骨折治癒過程における仮骨組織において類骨の石灰化速度が遅延していることを報告したが、in-vitroでの骨髄細胞の石灰化進行に差は認めなかった。しかしin-vitroとin-vivoでは外的環境が異なるため、MIFKO骨折で観察された類骨石灰化遅延が細胞活動の違いによると結論付けることはできない。また、骨折作製直後のMIF投与は骨折治癒を遅らせることが考えられ、炎症と骨折治癒との関係を考えると興味深い。
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Research Products
(4 results)