2010 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨損傷に対する滑膜幹細胞浮遊液静置療法において細胞接着効率を向上させる為の検討
Project/Area Number |
21591914
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
関矢 一郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 寄附講座教員 (10345291)
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Keywords | 間葉幹細胞 / 滑膜 / 軟骨 / マグネシウム / インテグリン |
Research Abstract |
【目的】私たちは、これまで滑膜由来の間葉幹細胞が他の間葉幹細胞と比較し、自己血清でより増殖し、軟骨分化能が高いことを報告している。さらに滑膜間葉幹細胞の浮遊液を軟骨欠損部に関節鏡視下で10分間静置し、細胞を軟骨欠損部に接着させる、低侵襲な関節軟骨の再生医療を開始している。また家兎の検討で、移植する滑膜間葉幹細胞が多いほど、良好な軟骨再生が得られることを確認している。細胞接着にはインテグリンが関与し、マグネシウムの影響を受けることが知られている。滑膜間葉幹細胞の軟骨欠損部への接着効率の向上を目指し、細胞浮遊液へのマグネシウム添加効果を検討した。 【方法と結果】In vitroの検討で、人工膝関節置換術後に得られた滑膜と軟骨を使用した。マグネシウムは容量依存性に、ヒト滑膜間葉幹細胞のcollagen coated dish及びヒト軟骨欠損部に対する接着性を増加した。滑膜間葉幹細胞はα3とβ1インテグリンを発現し、β1インテグリン中和抗体により、マグネシウムの効果は阻害された。In vivoの検討では、家兎の滑膜間葉幹細胞を標識し、浮遊液を軟骨欠損部に静置した。5mMマグネシウム添加群は、移植1日後に接着細胞数を増加させ、2週後にはより豊富な軟骨基質を認めた。 【考察】臨床で使用可能な輸液のなかにマグネシウムを含有するものがある。これを用いた細胞浮遊液を軟骨欠損部に静置することにより、接着する細胞数が増加し、本法による軟骨再生医療の成績を向上させることが期待される。
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Research Products
(2 results)