2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟部肉腫に対する新規遺伝子治療法-腫瘍内ウイルス拡散をターゲットとして
Project/Area Number |
21591920
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永野 聡 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (50373139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 節郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (30178371)
瀬戸口 啓夫 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (40423727)
神囿 純一 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (30444897)
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Keywords | 癌 / ウイルスベクター / 遺伝子 / 骨軟部腫瘍 |
Research Abstract |
骨軟部肉腫に対する遺伝子治療の効果を最大限に発揮するために、腫瘍内でのウイルス拡散の向上を目的とした実験を行った.ウイルス拡散を評価するモデルとして、3次元培養下で腫瘍細胞を培養し、スフェロイドを作成した.Oncolytic virus (OV)を感染させると、辺縁の一部(4%)にしか感染せず、ウイルスの深部への到達が不良であった.前処置として、アポトーシス誘導タンパクTRAILを加えると、スフェロイドの細胞同士の接着が低下し、細胞間隙が増したと考えられた.この状態でOVを感染させると、腫瘍細胞のウイルス感染細胞(GFP陽性)率が19%と約4倍に向上した.3次元培養モデルは、in vivoに近いウイルス拡散評価の実験系として有用である また、治療効果、副作用を軽減する目的で新しいOVの開発を行った.非常に癌特異性の高い分子であるSurvivinのプロモーターに依存して癌細胞特異的に増殖するOVを、悪性骨腫瘍、とくに骨肉腫をターゲットとして改良した.osteocalcinプロモーターをE 1 Bプロモーター部位に挿入し、Survivinとosteocalcinプロモーターのダブルの制御を可能とした新しい増殖制御型アデノウイルスCRA.Surv-OCを作成し、骨肉腫、前立腺癌に対する治療効果、を検証した.その結果、Survivinプロモーターに非特異的なCMVプロモーターを組み合わせたCRA.Surv-CMVと比較して、CRA.Surv-OCは、OCプロモーター活性が非常に低いにも関わらず、同等の治療効果を維持していた.特筆すべきは、骨芽細胞を含む複数の正常細胞に対して、CRA.Surv-OCはCRA.Surv-CMVと比較して低い細胞毒性を示した.CRA.Surv-OCは高い治療効果と、低い副作用を両立した悪性骨腫瘍に対する治療薬として期待できる
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Research Products
(13 results)