2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性骨軟部腫瘍発生におけるDNA二本鎖切断修復異常の意義
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21591926
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
田仲 和宏 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究部), 臨床研究部, 客員研究員 (10274458)
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Keywords | 癌 / 骨軟部腫瘍 / 染色体転座 / DNA修復 |
Research Abstract |
本研究は、悪性骨軟部腫瘍の特徴として疾患特異的な染色体転座の発生メカニズムを明らかにするために、染色体転座を有する悪性骨軟部腫瘍細胞を用いて、DNA二本鎖切断修復に関わる分子異常を系統的かつ網羅的に明らかにすることを目的としている。平成21年度は、ユーイング肉腫細胞株SK-N-MC、 WE-68細胞よりtotal RNAを抽出し、正常ヒト初代培養線維芽細胞MRC-5を対照としたDNAマイクロアレイ解析を行った。さらに平成22年度は、同様な染色体転座が観察される典型例として、慢性骨髄性白血病細胞株K-562について、末梢単核球を対照として同様な解析をおこなった。その結果、DNA二本鎖切断修復遺伝子の多くで、発現異常、とくに発現レベルの上昇が観察された。これら遺伝子の発現レベルの上昇がもつ病因論的意義は現時点では明らかではないが、疾患特異的な染色体転座を有する2つの独立した疾患において、共通な発現異常がみとめられたことは、染色体転座の発生メカニズムを考察する上で、極めて興味深い知見といえる。今後は、このような特徴が、疾患に普遍的な現象なのか、実際の臨床検体を用いて検証したい。また、これらの疾患細胞では、普段から正常な細胞に比べてより高い頻度でDNA二本鎖切断が生じているのか、培養細胞を用いて観察したい。
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