2009 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞分化におけるTGFシグナルとTRAFシグナルのクロストーク
Project/Area Number |
21591932
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門野 夕峰 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (70401065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (50282661)
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Keywords | 破骨細胞分化 / TGF-β |
Research Abstract |
関節リウマチRAをはじめとした炎症性疾患においては著明な骨破壊が認められるが、骨破壊を中心的に担うのは破骨細胞であり、その分化はRANKL(receptor activator of NF-κB ligand)によって制御される。一方で炎症性サイトカインを標的とした生物学的製剤の成功によって、RAの病態における腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor, TNF)-αを中心とした炎症性サイトカインの重要性は今や疑いのないものとなっている。しかしながらin vitroにおいてTNF-αの作用機序、そのRANKLシグナルとの関連は必ずしも明らかではない。我々はRANKLシグナルとTNF-αシグナルの2つをリンクさせる物質として腫瘍成長因子tumor growth factor β(TGF-β)に注目した。破骨細胞分化におけるRANKLシグナルとTGF-βシグナルとの関係を網羅的かつ詳細に解析することによって、炎症性疾患における骨破壊の分子メカニズムを明らかにするとともに、その治療戦略において新たなアプローチを提示することを目的とした。 マウスの長管骨骨髄から得た破骨細胞前駆細胞を、生存因子M-CSFと分化因子RANKLの共在下で培養することで破骨細胞へと分化させる実験系に(1)TGF-β受容体の特異的阻害剤(SB431542など)の添加(2)ドミナントネガティブ型TGF-βII型受容体の遺伝子導入を行うと、(1)(2)いずれも破骨細胞の分化は強く抑制され破骨細胞分化においてTGF-βは必須な因子であることが確認された。生体内(in-vivo)におけるTGF-β抑制の作用を検討するため、マウス頭部皮下へRANKLを投与することで破骨細胞分化および頭蓋骨骨吸収を誘導する実験系を用いた。ここに上記TGF-β阻害薬(SB431542)を添加したところ、破骨細胞の分化・誘導・骨吸収が著しく阻害され、in-vivoにおいてもTGF-βの必須性が確認された。
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