2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞系譜特異的ノックアウトを用いたIKK-NFκBの造骨機構における意義の解明
Project/Area Number |
21591941
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 友久 京都大学, 再生医科学研究所, 講師 (50301247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸口田 淳也 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40273502)
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Keywords | 造骨機構 / 細胞系譜 / シグナル伝達 / NF-κB / IKK |
Research Abstract |
IKKβはIKKα及びNEMOとともに、IKK signalosomeを形成し、炎症や免疫反応の惹起を介して様々な生理現象に関与している。ClassicalなNF-κBシグナル伝達系は、アポトーシス、分化あるいは増殖の制御を介して細胞や組織のホメオスターシスに関与している。我々はマウス発生工学的手法を用いて細胞系譜特異的にIkkβ遺伝子を欠失させることにより骨及び軟骨組織形成におけるIKKβの役割を解明することを試みた。 Ikkβノックアウトマウスは胎生致死となる。そこで我々は細胞系譜特異的にCreを発現するマウスと交配させることで、Ikkβのコンディショナルノックアウトマウスを作製し、解析を行った。 Ikkβ^<F/F>;Prx1-Creマウスは出生直後には明らかな異常は認めなかったが、2週齢以降、比較対照群のマウスに比べて四肢の短縮を認めた。そこで長管骨の形態を解析したところ、成長板の長さが短縮しており、層別の解析から短縮は肥大軟骨層の短縮に起因するものであることが判明した。一方、Ikkβ^<F/F>;Col1a1-Cre及びIkkβ^<F/F>;Col2a1-Creマウスには、このような表現型は観察されなかった。これらの結果より、観察された肥大軟骨層の短縮は、Col1陽性骨芽細胞及びCol2陽性軟骨細胞以外の細胞におけるIkkβ欠損に起因するものであることが示唆された。一つの可能性として成長板周囲に存在する細胞が産生する液性因子の変化を想定し、骨髄細胞を含む周囲組織細胞において候補遺伝子の発現解析を行ったところ、Ikkβ^<F/F>;Prx1-Creマウスで発現が低下している因子が一つ同定された。 以上の結果は、IKKβは成長板周囲細胞からの液性因子の発現を制御することで、内軟骨性骨化の課程に関与していることを示している。
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Research Products
(4 results)