2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症に伴って発生する関節破壊のメカニズムの解明
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21591948
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 卓明 Kyushu University, 大学病院, 助教 (20336035)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 関節破壊 / 骨壊死 / 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折 / 病理像 |
Research Abstract |
骨粗鬆症に伴って発生する大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の発生頻度とその臨床画像的特徴に関する研究を行った 1・発生頻度 【目的】骨粗鬆症に伴って発生する骨折の一つに大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(以下SIF)が提唱されている。本骨折は関節破壊を来すことが報告されており、臨床病理学的にその頻度、特徴を検討した。【方法】変形性股関節症(以下OA)または大腿骨頭壊死症(以下ON)の診断で人工股関節置換術を行った7,718骨頭(7,286症例)(OA : 7,349骨頭、ON : 369骨頭)を検討した。年齢は13-96才(平均60才)であった。【結果】全症例のうち、SIFは7,718例中501例(6.5%))に認められた。年齢は20-93才(平均68才)で、79%(394例)は60才以上の症例であった。女性は305例、男性196例、右側罹患が253例、左248例であった。疾患別では、OAでは6.3%に認められたのに対し、ONでは11.1%にSIFが認められた。【結論】SIFは高齢者に好発する傾向があり、特に大腿骨頭壊死症との鑑別が重要と考えられた。 2・特徴 1で明らかになったように本骨折は大腿骨頭壊死症との鑑別が重要であることが判明した。臓器移植後に発生する代表的疾患が大腿骨頭壊死症であることから、今回、臓器移植後に大腿骨頭に圧潰を来たした症例を再検討した。 その結果、肝臓移植を行い、その後ステロイド剤を大量投与された53歳女性が、大腿骨頭壊死症ではなく、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折を来たしていたことが判明した。その画像的特徴としては、レントゲンでは大腿骨頭に圧潰を来たしていたが、MRIで認められるバンド像が、骨壊死とは異なり、不規則で、かつ途中で途絶する形態を呈していた。さらに、ガドリニウムにてバンド像よりも中枢部が造影されていることが特徴的であった。これらのMRI所見が、骨壊死との鑑別に有用であることが判明した。
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