2011 Fiscal Year Annual Research Report
指節間関節形成を支配するGDF5による軟骨原基の成長分化機構
Project/Area Number |
21591955
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 俊治 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50275351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40190904)
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Keywords | 関節形成 / GDF5 / TRPS1 / PRG4 |
Research Abstract |
関節形成は軟骨・骨の形成過程に比べ分子的な詳細がまだ解明されていない領域である。本研究は関節形成の分子メカニズムを、特にGdf5のシグナリング経路に着目して解析することを目的としている。昨年度までの研究によって、Gdf5の下流で働く因子について検索を行った結果、転写因子Trps1を介して発現が調節されるPrg4/Lubricinなどいくつかの関節形成関連分子を同定してきた。本年度はそれらについてさらに解析を行った。 1.Prg4/Lubricinの発現調節の解析 Prg4/Lubricinは指節骨の骨端部に発現していることが知られるが、この発現はGdf5の刺激によりTrps1によって調節されていること、また従来知られていたGdf5の下流因子Barx2とは独立に調節されていることが明らかとなった。一方でこれらとは別の関節マーカーであるCD44やNogginなどはTrps1の調節を受けておらず、関節形成関連分子の調節は複数のシグナリング経路が関与していることが示された。これらの変化は軟骨様細胞株ATDC5を用いた実験でも確かめられ、ATDC5細胞は関節・骨端部形成のモデルとしても用いることができることが明らかとなった。また、Prg4/Lubricinには少なくとも4つのvariantが存在し、関節周辺でもそのうち3つが発現していることが判ったが、現在それらのvariant間の機能の差異・役割分担について、恒常的発現系の構築によって検討している。 2.Trps1の関節における機能の検討 Prg4/Lubricin発現調節以外のTrps1の機能についても、標的遺伝子の検索を引き続き行った。またTrpsl KOマウスを用いた大阪大学・歯学部の阿部真土氏らとの共同研究により顎関節の発生においてもTrps1が重要な機能を果たしていることが明らかとなった。 3.その他 その他研究計画に従って、マウス指節骨関節の組織培養実験を予備的に行い、最適な培養条件を決定するべく現在検討中である。
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