2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変動物を用いた外傷および関節炎における疼痛・ストレス反応の分子基盤の解明
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21591964
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大西 英生 産業医科大学, 医学部, 講師 (20279342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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Keywords | 疼痛ストレス / 遺伝子改変動物 / 前初期遺伝子 / 赤色蛍光タンパク / 視床下部室傍核 / 脊髄後角 |
Research Abstract |
本年度は遺伝子改変動物(c-fos-mRFPトランスジェニックラット)を用いて、急性疼痛ストレス時における免疫組織化学的染色法によるFosタンパクとmRFP赤色蛍光の発現の経時的変化を検討した。今回得られた結果は以下の通りである。 急性疼痛ストレスモデルとして5%ホルマリン液をc-fos-mRFPトランスジェニックラットの両側後肢に皮下注射すると、(1)視床下部室傍核では免疫組織化学的染色法において注射後90分にFosタンパクの発現が最も増加し、6時間後まで発現の増加を認めた。一方、mRFP赤色蛍光は注射後3時間をピークに90分から6時間にかけて増強し、Fosタンパクと同様の結果を得た。(2)下肢からの疼痛刺激を受容する第3腰椎レベルの脊髄後角では第II層で注射後90分から3時間までFosタンパクの発現の増加を認めた。一方、mRFP赤色蛍光も脊髄後角第II層で注射後90分から6時間まで増強を認めた。さらに、脊髄後角におけるmRFP赤色蛍光はFosタンパクより約3倍多く発現しており、疼痛刺激に鋭敏に反応する事が明らかになった。 以上の結果から、急性疼痛ストレスを負荷されたラットは脊髄後角第II層、ならびに視床下部室傍核においてニューロンの活動性の指標として汎用されるc-fos遺伝子産物であるFosタンパクが発現し、全身性の反応を引き起こしている事が明らかになった。また、これまでFosタンパク発現の有無を確認するには免疫組織化学的染色法を必要としていたが、c-fos-mRFPトランスジェニックラットを使用することで蛍光顕微鏡によって簡便かつ鋭敏にc-fos遺伝子の発現を赤色蛍光として検出することに成功した。
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[Journal Article] Similar changes of hypothalamic feeding-regulating peptides mRNAs and plasma leptin levels in PTHrP-, LIF-secreting tumors-induced cachectic rats and adjuvant arthritic rats.2011
Author(s)
Suzuki, H.Hashimoto, H.Kawasaki, M.Watanabe, M.Otsubo, H.Ishikura, T.Fujihara, H.Ohnishi, H.Onuma, E.Yamada-Okabe, H.Takuwa, Y.Ogata, E.Nakamura, T., Ueta, Y.
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Journal Title
International Journal of Cancer
Volume: 128
Pages: 2215-2223
Peer Reviewed
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