2009 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬による術後認知機能低下の機序に関する研究
Project/Area Number |
21591968
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
堀口 剛 Akita University, 医学部, 准教授 (70221570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真崎 容子 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30125744)
川村 公一 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00091801)
安部 恭子 秋田大学, 医学部, 助教 (30311575)
西川 俊昭 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50156048)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / セボフルラン / 脳 / 血液 / ガスクロマトグラフ / SIM分析 / 内部標準法 |
Research Abstract |
【仮説】従来、吸入麻酔薬の一部は代謝されるが、多くは短時間で呼気により体内から排出されると考えられてきた。しかし実際は脳内に長期間残存し、そのために認知機能低下が長期化するのではないか。 【仮説実証のための方法】雄のSDラット(9週)を用い、空気-酸素-セボフルラン(2.0%)で2時間麻酔した。麻酔終了3分後(n=7)、2日目(n=7)、7日目(n=7)に血液採取および脳を灌流、摘出し氷冷した共栓付きガラス管に入れた。脳は-80℃で凍結保存した。血液:ヘパリン加血液2mlに生理食塩水2ml(4℃)を加え、冷却した共栓付ガラス遠沈管で撹拌した。内部標準物質としてハロタン100ppmを含有するクロロホルム(0.3ml)を加え撹拌後、Ultrafree-CLフィルターを通すため遠心した。下層のクロロホルム層液を-20℃で保存した。 脳:測定予定日に解凍、6%過塩素酸を加え、氷冷しながらホモジュナイズした。以下血液と同様に処理した。 セボフルランの検出法:脳、血液のクロロホルム層液1μLをガスクロマトグラフ質量分析計に注入した。検出はSIM分析を用いライブラリーのセボフルランと照合した。 セボフルランの定量法:内部標準法にて検量線を作成し定量した。 また、コントロールとして、無麻酔のラット(n=7)についても測定した。 【研究結果・意義・重要性】セボフルラン麻酔後7日目でも、血液内および脳内にセボフルランが残存していた。コントロールではセボフルランは検出されなかった。2日目、7日目共に脳内のセボフルランの濃度は血液中の約10倍であった。以上の結果はこれまでの吸入麻酔の常識を覆すものであり、脳内に残存したセボフルランが認知機能低下の長期化に関与している可能性を示唆している。
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Research Products
(4 results)