2011 Fiscal Year Annual Research Report
μオピオイドの脊髄鎮痛と耐性における受容体細胞内動態の役割を明らかにする
Project/Area Number |
21591972
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
齊藤 洋司 島根大学, 医学部, 教授 (50162243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 龍也 島根大学, 医学部, 講師 (00372681)
二階 哲朗 島根大学, 医学部, 講師 (20314643)
今町 憲貴 島根大学, 医学部, 講師 (40325048)
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Keywords | オピオイド / 細胞内陥入 / 耐性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、脊髄レベルでのオピオイド鎮痛と耐性形成におけるμオピオイド受容体細胞内動態の役割を明らかにすることにある。雄性ラットを使用し、薬剤の投与経路は皮下投与および髄腔内投与とした。オピオイド受容体作動薬としてモルヒネ、オキシコドン、フェンタニルを用いた。行動学的検討として、tail flick(体性侵害刺激)試験、colorectal distension(内臓侵害刺激)試験を行った。また、受容体細胞内動態の検討に関しては、今回オキシコドンの髄腔内投与10分後について評価した。抗μオピオイド受容体抗体を用いて免疫組織化学染色を行い、受容体細胞内陥入を起こしている脊髄後角ニューロンの割合を検討した。 皮下投与した場合の体性痛に対するモルヒネ、オキシコドン、フェンタニルの各々のED50は3.1、0.2、0.02(mg/kg)であった。また、内臓痛に対するそれは各々、3.2、0.6、0.02(mg/kg)であった。一方、髄腔内投与した場合の体性痛に対するED50は各々、0.9、1.9、0.1(μg)であり、内臓痛に対しては各々、0.8、9.6、0.2(μg)であった。 μオピオイド受容体が細胞内陥入を起こしている割合は、オキシコドン200μg投与10分後で67.5%、2μg投与10分後では8.8%であった。なお、生理食塩水投与10分後では8.0%であった。 今回明らかになった点として、オキシコドンは投与経路により抗侵害受容効果が異なることが挙げられる。また、オキシコドンがin vivoにおいてμオピオイド受容体の細胞内陥入を引き起こすことも初めて明らかとなった。さらにオキシコドンは、これまでに我々が報告している選択的μ受容体作動薬であるDAMGOやモルヒネとは異なった受容体細胞内動態を示しており、受容体細胞内陥入の役割を明らかにする一助になると考えられた。
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