2011 Fiscal Year Annual Research Report
Akt(protein kinase B)の活性化による脊髄保護に関する研究
Project/Area Number |
21591974
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松本 美志也 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60243664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 敦生 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50379971)
若松 弘也 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80379966)
福田 志朗 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70322245)
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Keywords | 脊髄虚血 / Akt / インスリン様成長因子1 / エリスロポエチン |
Research Abstract |
平成19~20年度の基盤研究(C)で、インスリン様成長因子1(IGF-1)とエリスロポエチン(EPO)を虚血前に投与すると、一過性脊髄虚血に対して強い保護効果が認められた。その機序として、Akt,の活性化が予想されたが、前年度までの研究では明らかな活性化を証明することはできなかった。本年度は、硬膜外電気刺激によるAktの活性化を試みたが、家兎での硬膜外電気刺激は、刺激条件を決定することが困難であることが判明した。したがって、IGF-1とEPOの脊髄保護作用において未検討課題である虚血再灌流後のIGF-1とEPO投与による脊髄保護効果について検討した。 家兎を対照群(虚血再灌流直後に生理食塩水投与)、IGF-1群(虚血再灌流直後にIGF-1 0.3mg/kgを静脈内投与)、EPO群(虚血再灌流直後にEPO 800 IU/kgを静脈内投与)、IGF-1+EPO群(虚血再灌流直後にIGF-1 0.3mg/kgとEPO 800 IU/kgを静脈内投与)の4群に分けた(各群n=6)。 イソフルラン麻酔下に経後腹膜的アプローチにより左腎動脈直下の大動脈にテーピングを行った。脊髄虚血は大動脈の15分間遮断により作成した。虚血再灌流後7日間家兎の後肢機能を観察した。後肢運動機能は5段階評価とした(4:正常、3:跳躍できるが正常ではない、2:後肢はよく動くが跳躍できない、1:後肢がわずかに動く、0:完全麻痺)。最終的な神経学的所見を観察後、再度全身麻酔を行い、脊髄を灌流固定した。腰部脊髄の切片をhematoxylin & eosinし、第5腰椎レベルの腹側脊髄の正常神経細胞数を測定した。 最終的な後肢運動機能は対照群で1:1羽、0:5羽、IGF-1群で4:2羽、3:1羽、2:1羽、1:2羽、EPO群で3:2羽、2:3羽、0:1羽、IGF-1+EPO群で4:3羽、2:3羽と、IGF-1+EPO群が対照群に比較して有意に神経学的所見がよかった。第5腰椎レベルの腹側脊髄の正常神経細胞数(平均値±標準偏差)は対照群で6±4、IGF-1群で44±34、EPO群で31±18、IGF-1+EPO群で47±24と、IGF-1+EPO群が対照群に比較して有意に正常神経細胞数が多かった。 今後は脊髄虚血再灌流後のIGF-1とEPOの投与によるAktの活性化を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)