2009 Fiscal Year Annual Research Report
全身性炎症反応時におけるオートファジーの役割とその制御法の開発について
Project/Area Number |
21591977
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
萩原 聡 Oita University, 医学部, 講師 (50527661)
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Keywords | オートファジー / 敗血症 / エンドトキシン / 静脈栄養 / 炎症 |
Research Abstract |
臓器障害とオートファジーの関与が言われており、本年度は、研究遂行のはじめとしてLPS投与全身性炎症モデルにおいてオートファジーの関与があるかについて検討した。炎症反応の指標としては、High mobility group box 1 (HMGBl)および血清サイトカインを用いた。 Wistar系雄性ラット(体重250-300g)に、エンドトキシン(LPS10mg/kg)を静注することで全身性炎症モデルを作成。次の各群に対して検討を行った。 a) 正常コントロール群 b) LPS投与群 エンドトキシン投与後の経時的な血清中サイトカイン濃度およびHMGBl濃度の検討並びに12時間後にセボフルレン吸入麻酔下で、犠死させ肝組織を摘出。各群間におけるラットの肝組織標本、肝組織中HMGBl濃度を検討した。はじめに、LPS投与後の炎症反応を検討した結果、LPS投与により、血清中の炎症性サイトカインや欄GB1といった蛋白の有意な上昇を認めた。さらに、LPS投与における肝臓への影響を検討するため、肝組織における炎症像を評価(壊死、出血、炎症細胞浸潤、浮腫)した。この結果、LPS投与12時間後に肝小葉構造の破壊や炎症細胞の浸潤などを認め、これらの変化は正常コントロール群に比べて有意に悪化することが明らかになった。この際の、肝臓におけるオートファジーの発現について検討すると、電子顕微鏡写真にて正常コントロール群に比べて、増加していること像を捉えることが出来た。また、発現の変化を定量化するために、免疫染色およびImmuno blotting法による検討を施行し、オートファジー発現の指標であるLC-IIやAtg7の発現増加を認めた。 これらの事実より、炎症反応時に生じる肝障害の原因のひとつに、オートファジーが関与していることが示唆された。
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