2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群でのヒト血管ストレス機序解明と遺伝子治療および麻酔薬作用の研究
Project/Area Number |
21591985
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
伊良波 浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 臨床教授 (30193692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 浩之 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (70291490)
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Keywords | ヒト血管 / 平滑筋 / 高血糖 / NADPHオキシダーゼ / アクチン |
Research Abstract |
メタボリック症候群のない手術患者より摘出された大網つきの胃標本を直ちにクレブス液に入れ9℃に冷却保存した。外径0.8-1.2mmのヒト大網動脈の血管内皮を除去し、長さ2.5mmのリング状標本を作成した。正常ブドウ糖群(5.5mmol/L)あるいは高濃度ブドウ糖群(25.5mmol/L)に60分間暴露した後、-80℃で保存した。保存した標本を用いて、後日ヒト血管平滑筋内でのNADPH oxidase各サブセットのタンパク発現レベルを検討した。その結果、高濃度ブドウ糖暴露により、特に細胞内スーパーオキシドの産生の鍵を握ると考えられるp47phoxの細胞膜分画レベルが増大していることが明らかになった。さらに、高濃度ブドウ糖へ60分間暴露した直後の血管で作成した20μmの厚さのスライス標本では、ヒドロエチジン(2×10^<-6>mol/L)20分間適用後にえられる585nm波長での赤色蛍光が増強しており、これらの血管平滑筋でのスーパーオキシドの産生増大も証明できた。次いで、4%パラホルムアルデヒドで固定した血管スライス標本で、細胞膜構成物質アダプチンおよびNADPH oxidaseサブセットp47phoxを免疫組織学的に評価したところ、細胞膜でのp47phoxタンパク発現を裏付ける画像所見をえた。次いで、同様に作製したスライス標本に、細胞骨格のうちFアクチンフィラメントおよびGアクチンフィラメントを免疫組織学的に評価した。二次抗体に標識する蛍光色素を赤色(Alexa-594)と緑色(Alexa-488)を適宜組み合わせ、共焦点顕微鏡によるライブセルイメージングで、FおよびGアクチンの比率を評価したところ、高濃度ブドウ糖暴露により、Fアクチン比率が高まることが明らかになった。現在その機序を解析中である。
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