Research Abstract |
1. 腫瘍細胞に対する傷害性の強さは,midazolam>diazepam>propofol>thiamylal>thiopentalの順であった. 2. 口腔正常線維芽細胞に対する傷害性の強さは,midazolam>propofol>diazepam>thiamylal>thiopentalの順であった. 3. 腫瘍,正常細胞ともにバルビツール酸誘導体よりもベンゾジアセピン誘導体の方が細胞傷害性は強かった. 4. 最も傷害性の強かったmidazolamは,口腔扁平上皮癌細胞,神経膠芽腫細胞を強く傷害したが,口腔正常線維芽細胞,ヒト表皮角化細胞に対しても強い傷害性を示した. 5. Midazolamは,HSC-2, HSC-4細胞に対して,アポトーシスマーカーを誘導せず,オートファジー阻害剤は,midazolam誘発性の細胞死を完全には阻止できなかった.また,電子顕微鏡的観察により,HSC-2,HSC-4細胞に,濃度依存的に顕著なミトコンドリアの膨潤や傷害,細胞膜の破壊像が観察された. 6. 以上の結果より,midazolamは,HSC-2, HSC-4細胞に対して,アポトーシス及びオートファジーよりもネクローシスを生じる可能性が高いことが示唆された。 7. 局所麻酔薬に関してはHSC-2, HSC-4細胞に対してジブカイン、リドカインが表面麻酔や浸潤麻酔に用いる臨床使用濃度で傷害活性を示した。局所麻酔薬も静脈麻酔薬と同様にHSC-2, HSC-4細胞に対して,アポトーシス及びオートファジーよりもネクローシスを生じる可能性が高いことが示唆された。
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