2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳内神経ネットワークからみた吸入麻酔薬の情報伝達と作用機序に関する研究
Project/Area Number |
21591988
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
西村 欣也 Juntendo University, 医学部, 准教授 (80164581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 秀宣 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90265992)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 線条体 / 発火パターン / EPSC / IPSC |
Research Abstract |
吸入麻酔薬は,日常の麻酔臨床において臨床応用されているものの,その作用機序は未だ解明されていない.今回我々ばPatch-clamp法を用いた神経細胞の静止膜電位変化,また線条体に存在する神経細胞のもつ発火パンターン様式,さらに大脳皮質の刺激によるEPSC,lPSCに対する吸入麻酔の影響を検討した.方法としてマウスに対して脳スライス標本を作成し,人工脳脊髄液(細胞外液)を還流しながら顕微鏡下に線条体の投射ニューロンであるMS(medium spiny)ニューロンに対してwhole-cell patch clampを行った.その後current clampモードによりその静止膜電位(RP)およびMSニューロンの発火を観察した。結果,吸入麻酔薬(セボルフランおよびイソフルラン:2MAC)を添付により,経時的に発火パターンの変化が観察された.また,この吸入麻酔薬(セボフルランおよびイソフルラン:2MAC)の添加より大脳皮質刺激による線条体でのEPSC,lPSCでは,それぞれに特徴ある変化が観察された.すなわち,ともに著しく抑制されることのであるが,この"抑制"は海馬CA1における変化とば明らかに異なっていた. 海馬に較べて線条体ではPeak値からみると"抑制"は強く,観察された. このように脳内における作用に"ばらつき"が観察された.さらにGABA受容体の拮抗薬bicuculline(BMI):30μMの処理によってもこの『乱れ』は生じた.その後,吸入麻酔薬の添付を止めると,やはり15~20分後には『乱れ』は消失し,吸入麻酔薬のもつ可逆性が示された.このように吸入麻酔薬負荷によりMSニューロンに変化を与え,吸入麻酔薬の可逆性を呈することから,吸入麻酔薬の脳内神経伝達の影響が示唆された.
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Research Products
(1 results)