2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳内神経ネットワークからみた吸入麻酔薬の情報伝達と作用機序に関する研究
Project/Area Number |
21591988
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 教授 (80164581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 秀宣 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90265992)
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Keywords | 神経回路 / 吸入麻酔薬 / マウス / 線条体 / EPSC / IPSC |
Research Abstract |
吸入麻酔薬の機序は未だ解明されたわけではないが,神経細胞やシナプス伝達効率を変化させている,と考えられている。今回,吸入麻酔薬の脳内ネットワーク活動への影響を検討するためマウス線条体および海馬の神経細胞を用いて観察した. 方法は、マウス脳スライス標本を作成.人工脳脊髄液を還流しながら線条体および海馬体の神経細胞に対してpatch-clamp法を行った。その後スライス表面に刺激電極を置き、興奮性および抑制性シナプス後電流(EPSC, IPSC)による細胞応答を検討した. その結果、マウス線条体投射ニューロンであるMediam Spiny細胞における神経細胞の静止膜電位:RPは約-70~-80mVであった.そこへセボフルラン(Sevo:2MAC)を還流させると,RPは変化ないもののそれぞれの細胞に特有の発火パターンは著明に変化した.このことからSevoはNaチャネルや整流性Kチャネルに影響を及ぼすものと推測された.また,IPSCのPeak値は線条体では65-75%の減少がおこり,いわゆる抑制作用の減少がみられた.これらの変化は可逆性をもって観察することができたが,線条体でのIPSCの変化は海馬での変化とは異なり,抑制作用を著明に増強したものとは考えられなかった.このような変化が吸入麻酔薬の作用機序そのものとは言い難いが,神経細胞における情報伝達に影響を与えることはメカニズム解析に関連する可能性が示唆された.
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Research Products
(3 results)