2011 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬ポストコンディショニングにおける心筋ミトコンドリア保護効果に関する研究
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21591989
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
三尾 寧 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00266686)
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Keywords | 麻酔薬 / 心筋 / ミトコンドリア / 臓器保護 |
Research Abstract |
長時間の心筋虚血後の再灌流早期に麻酔薬を投与すると、引き続いて発生する虚血・再灌流障害が軽減されることは麻酔薬ポストコンディショニングとして広く知られている。プレコンディショニングにおいては麻酔薬のみならず他のさまざまな薬剤について同様の作用を持つことが報告されているが、このポストコンディショニング作用に関する報告は麻酔薬が中心であり、他の周術期使用薬剤についてはあまり検討されていない。今回狭心症治療薬として周術期に広く用いられているニコランジルのコンディショニング効果について分離ミトコンドリアを用いて検討した。 ラット左室筋よりミトコンドリアを過去の報告と同様な方法にて抽出した。(1)コントロール、(2)45mMカルシウム存在下、(3)ニコランジル+45mMカルシウム存在下、の各条件でミトコンドリアの呼吸能(Respiratory Control Ratio)をピルビン酸・リンゴ酸・ADPにより電子伝達系を賦活化させ酸素電極を用いることにより測定した。カルシウム存在下でRCRは低下(これはミトコンドリアのATP産性能低下を意味する)したが、ニコランジル存在下ではRCRの低下は軽度であり、ニコランジルには細胞質成分を必要としない直接的なミトコンドリア保護効果を持つことが確認された。さらに、この保護効果は一酸化窒素スカベンジャーの投与により消失した。 以上よりニコランジルのミトコンドリア保護効果は、細胞質成分を必要とせず、ニコランジルが一酸化窒素ドナーとなることによって直接的に発現すると考えられた。この結果からニコランジルの保護効果の発現は迅速であると推測することができ、ポストコンディショニングのように虚血発生直後に投与を行っても心筋保護効果を期待できると考えられた。
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Research Products
(2 results)