2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管リモデリング形成における内因性プロスタノイドの役割解明
Project/Area Number |
21591993
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高畑 治 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (60179546)
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Keywords | プロスタノイド / 血管平滑筋 / リモデリング |
Research Abstract |
野生型マウスとEP4受容体欠損マウスにおいて、全身麻酔下に左総頸動脈を内頸動脈と外頸動脈との分岐部近位において8.0ポリプロピレンにより完全結紮を行ったのちに、閉創した。結紮後1週、2週ならびに4週の時点で再度同様の麻酔を施行し、開胸後に左心室からリン酸緩衝液ならびにホルマリン添加リン酸緩衝液を投与し灌流固定とした。結紮側と非結紮側の頸動脈をそれぞれ取り出し、パラフィン固定後、結紮近位部から1mmの距離をあけて全長2mmにわたり5μmの厚さに薄切を行い血管断面標本を作製した。これら標本にヘマトキシリン・エオジン染色を施行し、形態学的検討を行うことを本年度の研究目的とした。結紮2週の時点では野生型マウス、EP4受容体欠損マウス共に血管中膜層の肥厚が認められ、新生内膜の形成が両マウスにおいて観察された。さらに結紮4週の時点では野生型マウスにおいて、中膜層の肥厚と新生内膜の形成が結紮2週の時点に比べて大きく見られ、血管内腔の狭小化がすすむことが観察された。中膜層と新生内膜の面積比は頸動脈の結紮により増加する事が認められた。また、外弾性板、内弾性板の長さは結紮4週の時点では短縮することとなった。これらの組織学的変化はEP4受容体を欠損したマウスでは軽減される事が観察された。以上のことから、血流遮断に伴う血管組織の変化において、EP_4受容体を介した内因性プロスタグランジンE_2が影響を及ぼす事が示唆された。
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