Research Abstract |
術前気道評価の標準化に関する研究では,挿管困難予測モデル・マスク換気困難予測モデルの作成を試みた.想定した困難因子は,年齢,身長,体重などの基本情報の他,開口距離,マランパッチ分類,TMD, Upper Lip Bite Test,小顎の有無とした.対象とした600例において,その挿管困難症例,マスク換気困難症例が予想より低かったため,モデルの作成には至らなかった.喉頭展開困難に関しては,一般化線形モデルにて回帰したところ,65歳以下の年齢,マランパッチ分類3以上,BMI30以上,小顎の存在が喉頭展開を困難とする要因と特定できた.しかし,ROCカーブからは予測モデルの質が必ずしも高くないことが示唆され,想定された因子以外を項目に入れる必要性を検討すべきと思われた.また,喉頭展開困難の出現率も必ずしも高くなくため,モデルの信頼性を高める目的でさらに症例数を増やし検討する必要性がある.これらの結果の一部は,2009年度の日本麻酔科学会総会において発表した. 街後上気道閉塞の危険因子の同定と対策に関する研究では,気管チューブのカフリーク圧の基礎的データの採取を行った.しかしながら,実際の臨床ではカフリーク圧が様々な因子(麻酔薬,筋弛緩薬)により影響を受けることがわかり,標準的カフリーク圧の測定法を策定する必要性があきらかになった.また,術後上気道閉塞の発生率は,予想より低いかったこともあり,引き続きデータの採取を行うことが必要である.
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