2011 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症病態がペースメーカー細胞に及ぼす影響ー遺伝子による不整脈治療戦略の構築ー
Project/Area Number |
21592001
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
畠山 登 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70251907)
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Keywords | 敗血症 / 全身性炎症反応症候群 / 心筋 / 不整脈 / 活動電位 / チャネル発現 / カルシウムチャネル / カリウムチャネル |
Research Abstract |
敗血症など,全身性炎症症候群に合併する頻脈性不整脈は,しばしば治療に難渋する。今回,われわれは敗血症モデルにおける心房筋イオンチャネルの発現,機能変化について検討を行った。 敗血症モデルは,リポポリサッカライドをモルモット腹腔内に投与することで作成し,投与後10時間で心臓を摘出し,心房筋において活動電位を形成するL型カルシウムチャネル,ナトリウムチャネル,遅延整流性カリウムチャネルの発現,電流の変化について観察した。 敗血症モデルの心房筋においては,活動電位の持続時間が短縮した。これは主にL型カルシウムチャネル電流の抑制と遅延整流性カリウムチャネル電流の増大によるものと考えられた。これらのチャネル電流の変化はNG-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)あるいはS-ethylisothioureaの適用により消失した。また敗血症モデル心房筋において,L型カルシウムチャネルサブユニットの発現抑制,遅延整流性カリウムチャネルの発現増大が観察されたが,カリウムチャネルはL-NAMEの適用によってもその発現増大は抑制されなかった。さらに,敗血症モデルではiNOSの発現増大が観察された。 これらの結果より,敗血症病態においては活動電位の短縮が頻脈性不整脈の発生に関与しており,チャネル発現の変化とともに,過剰発現したNOによるチャネル機能の変化が関与しているものと考えられた。したがって,これらの変化を遺伝子レベルで制御することで,頻脈性不整脈の治療戦略が構築できるものと考えられた。
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Research Products
(2 results)