2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592002
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
川上 勝弘 信州大学, 医学部・附属病院, 特任研究員 (90334911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川真田 樹人 信州大学, 医学部, 教授 (90315523)
川股 知之 信州大学, 医学部, 准教授 (80336388)
田中 聡 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (60293510)
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Keywords | オピオイド / 神経毒性 / 脊髄損傷 |
Research Abstract |
脊髄損傷後には運動機能麻痺だけでなく疼痛が生じる。この痛みを緩和する目的で、しばしばオピオイドが投与される。しかしながら、オピオイド投与により、脊髄損傷後の下肢運動麻痺が増悪する可能性がある。本研究の目的は、脊髄損傷時に投与されたオピオイドの下肢運動麻痺に与える影響と、その増悪の機序を明らかにすることにある。以下の研究成果が得られた。 1、オピオイド単回投与によるμ受容体を介した下肢運動麻痺の増悪 鎮痛量のオピオイドμ受容体作動薬により下肢麻痺が一過性に増悪し、その増悪はオピオイド受容体拮抗薬により拮抗された。これらの結果から、脊髄損傷後のオピオイド単回脊髄投与による下肢麻痺の増悪は、オピオイドμ受容体を介したものであることが示唆される。 2、オピオイド持続投与によるオピオイド受容体以外の機序の関与 脊髄損傷ラットに、髄腔内に留置したカテーテルから3日間オピオイドを持続投与すると、下肢運動麻痺の回復が遅延した。この下肢運動麻痺はオピオイド受容体拮抗薬で拮抗されない。これらの結果から、オピオイド持続投与後の下肢運動麻痺増悪は、オピオイド受容体を介する機序だけでなく、その他の機序が関与している可能性がある。 3、運動ニューロンに対する影響 下肢の筋は腰髄運動ニューロンによってコントロールされる。組織学的検討では、オピオイド投与による腰髄運動ニューロンの有意な減少はみられなかった。これらの結果から、オピオイドによる下肢運動麻痺は、運動神経細胞の減少に由来するものではないことが示唆される。
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Research Products
(5 results)