2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺高血圧症における凝固・炎症カスケード解析による治療標的の解明
Project/Area Number |
21592003
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
丸山 一男 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (20181828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 義英 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60273380)
丸山 淳子 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50263017)
張 尓泉 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30456727)
横地 歩 三重大学, 医学部付属病院, 助教 (60359768)
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Keywords | 肺高血圧 / モノクロタリン / トロンボモジュリン |
Research Abstract |
肺高血圧モデルとして、モノクロタリン肺高血圧モデルを用いた。モノクロタリンはクロタリアスペクタリビスという豆科植物から抽出されたアルカロイドで、同植物を常食としていた現住民に突然死が多いことから、肺高血圧を引き起こす作用が発見された物質である。モノクロタリン60mg/kg皮下注により誘発される肺高血圧発症に対するトロンボモジュリン(TM)による発生抑制効果を調べた。TM血中濃度は、投与後2日間は維持された。正常ラット+生理食塩水、肺高血圧ラット+生理食塩水、肺高血圧ラット+TMの3群に分けた。モノクロタリン投与2日前から、組換え可溶性ヒトトロンボモジュリン0.3mg/kgをラットに1回/2日皮下注射した。結果(1)モノクロタリン投与19日目の肺動脈圧は上昇したが、TMはこの上昇を有意に抑制した。(2)右心室肥大も発生したが、TMは右心室肥大の発生を抑制しなかった。(3)外径15-50μmの肺動脈において、全周性に筋層を持つ血管(完全筋性血管)の出現率は、モノクロタリン投与で上昇したが、TMはこの上昇を抑制しなかった。(4)一方、外径50-100μmの肺動脈において、完全筋性血管の出現率も、モノクロタリン投与で上昇したが、TMはこの上昇を有意に抑制した。(4)完全筋性血管(外径50-100μm)の外径に対する中膜の割合(中膜肥厚)は、モノクロタリン投与で上昇し、TMはこの上昇を有意に抑制した。以上の結果から、TMはモノクロタリンによる肺高血圧血管病変の発生を部分的に抑制するが、この効果は血管サイズにより異なる。肺動脈圧の上昇を軽度に抑えるが、右心室肥大の発生は抑制しないと考えられる。
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Research Products
(5 results)