2009 Fiscal Year Annual Research Report
機能的磁気共鳴画像法を用いた慢性疼痛脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
21592004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
倉田 二郎 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (50349768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 秀直 京都大学, 医学研究科, 教授 (90181297)
福田 和彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (90199224)
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Keywords | 機能的磁気共鳴画像法 / 慢性疼痛 / 腰痛 / 深部痛 / アロディニア / 後帯状皮質 / 大脳辺縁系 / 麻酔深度 |
Research Abstract |
本年度は、前年度より継続してきた腰痛に関わる脳活動の研究を完成した。機械的腰部圧迫刺激とfMRIにより、過去に報告された疼痛関連脳部位の活性化が観察された。とりわけ、島皮質・前運動野・後帯状皮質・前頭皮質の活動が腰背部深部組織の痛みに関連する活動として興味深い。また、第一次・第二次感覚皮質などの外側侵害受容系が活性化しないのも重要な特徴である。このような腰痛関連脳活動を"low back pain matrix"と名付け、2009年8月に日本麻酔科学会で報告し、国際誌Spineの2009年10月号に掲載した。 また、前年度より継続してきた、正中神経切断後慢性疼痛のfMRI縦断研究を押しすすめた。正常では第一次・第二次感覚皮質の単純な賦活として現れる手掌触覚刺激が、患側の手掌では、大脳辺縁系を含む広範な部位の強い脳賦活として現れ、これが異常疼痛感覚であるアロディニアに関連することを見いだした°このことを、上記の腰痛関連脳活動の知見と併せてまとめ、慢性疼痛の診断に用いるfMRIの理論・方法を解説する総説文を「麻酔」誌2009年11月号に掲載した。 麻酔において、痛みとは、麻酔深度と循環動態と強く影響する因子である。術中は時々刻々と変化する痛みに対して、麻酔深度を絶えず適切に調節することが、麻酔による循環不全・臓器障害など重篤な副作用を防ぐ上で重要である。このような内容の論説文を、editorialとして国際誌Anesthesia & Analgesiaに投稿し、2010年3月号に掲載された。 一方、京都大学ペインクリニックと高次脳機能研究センターと共同ですすめている慢性疼痛のfMRI研究のために、刺激装置および画像解析装置・解析ソフトウェアの整備を順調にすすめた。
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Research Products
(6 results)