2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592018
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
恒吉 勇男 University of Miyazaki, 医学部, 教授 (90301390)
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Keywords | 血管反応性 / ショック / ホルモン / 敗血症 |
Research Abstract |
新しい麻酔薬として開発されたJM1232(-)の循環動態に与える効果を明らかにするために、ラットにJM1232(-)を静注して、血圧及び心拍数の変動を観察した。結果として、JM1232(-)は心拍数を増加させる一方で血圧を低下させる作用が強いことが判明した。この際、交感神経を除したラットでは血圧、心拍数ともに減少することから、JM1232(-)は、baroreflexを刺激して、心拍出量を維持すると考えられた。また、この血圧低下作用はフルマゼニルで拮抗されることから中枢神経のベンジジアゼピンレセプターを介していることが判明した。 また、当研究室ではより臨床病態を反映するためヒト血管にスポットをあて、等尺性張力測定法を用いた血管反応性に関する基礎実験を行ってきた。具体的には、胃癌患者の胃切除術に際し取り出された胃大網から胃大網動脈を切除し、実体顕微鏡を用いて大網動脈周囲の結合織や脂肪をプラントを用いて取り除き2mm大の血管リングを作成し、等尺性張力をストレインアンプを用いて測定し、ペンレコーダーで記録、解析した。ヒト胃大網を用いたJM1232(-)の直接的な血管反応へ与える影響を検討したところ、JM1232(-)は臨床濃度ではプロポフォールやミダゾラムと同等の血管弛緩反応を有することが判明し、この反応もフルマゼニルで拮抗されることが分かった。 以上の結果から、新しい麻酔薬と期待されるJM1232(-)は、麻酔導入及び維持において、血管拡張を生じ、何らかの血圧低下を生じる可能性が指示される。 これらの結果は、2009年の日本麻酔科学会で報告した。
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