2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチンによる術後鎮痛-脊髄後角インビボパッチクランプ法を用いた検討
Project/Area Number |
21592022
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森 隆 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 講師 (00336786)
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Keywords | ニコチン / パッチクランプ法 / 術後痛 / 脊髄後角 / In vivo |
Research Abstract |
本研究は、ラット術後痛モデルでin vivoパッチクランプ法を行い、ニコチンによる急性痛に対する鎮痛機序の解明を目的とする。平成21年度研究度実施計画のうち、1)in vivoパッチクランプ実験環境の整備、2)in vivo標本の作製、3)in vivoパッチクランプ記録法による実際の興奮性シナプス電流(EPSCs)および抑制性シナプス電流(IPSCs)の記録、の3点まで実施した。1)では、空気ばね式除振装置(ADZ-A1007,明立精機)の台上に動物固定装置、マイクロスコープ、ファイバー光源を設置した。パッチクランプアンプ(Axopatch 200B. Axon Instrumnts, USA)のヘッドステージはマイクロマニピュレーターで操作できるようにした。ファラデーケージを作製し、セットアップ全体をシールドし、記録に電気的ノイズの混入が少ない環境を作った。2)では、4-7週齢のラットを用い、ウレタン麻酔下にin vivo標本のプレパレーションを行った。椎弓切除(第12胸椎-第2腰椎)、硬膜の開窓、脊髄および第3-5腰椎神経根の露出、さらに神経根を上下にずらすことによる脊髄後角へ向けて電極を刺入するスペースの確保、電極刺入部位のクモ膜/軟膜の開窓を行った。3)では、ラットのウレタン麻酔を継続した状態で行った。脊髄表面を加温および酸素化したリンゲル液で灌流した。パッチクランプアンプのヘッドステージにガラス電極を装着し、マイクロマニピュレーターを用いて電極を脊髄後角に刺入し、第II層の神経細胞を標的としてホールセル状態の作成を行った。自発的なEPSCsおよびIPSCs、感覚刺激に応答するそれらの記録に成功した。In vivoパッチクランプ記録において、短時間かつ少ない出血量で標本を作成することが重要であり、操作手技の向上を図り、長時間の安定した記録が徐々に可能となってきた。
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