2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチンによる術後鎮痛-脊髄後角インビボパッチクランプ法を用いた検討
Project/Area Number |
21592022
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森 隆 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (00336786)
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Keywords | ニコチン / パッチクランプ法 / 術後痛 / 脊髄後角 / in vivo |
Research Abstract |
本研究は、ラット術後痛モデルでin vivoパッチクランプ法を行い、急性痛に対するニコチンの鎮痛機序の解明が目的である。平成21年度、平成22年度とin vivoパッチクランプ法の実験環境の整備を進め、また学外の専門家の指導により、in vivo標本の作成および記録に関する技術的な問題点についても徐々に解決されてきた。平成23年度は、さらに記録の安定性を高めることに努め、ニコチン投与による脊髄後角シナプス活動への作用について検討を開始した。現時点までに、抑制性シナプス電流(IPSCs)に対するニコチンの作用を記録した。脊髄後角第1層神経細胞でIPSCsを記録した。ニコチンの脊髄灌流では(10μM,100μM)、IPSCsの頻度および電流の大きさともに濃度依存性に増加した。この結果は脊髄スライスでの結果と一致するもので、ニコチンの鎮痛効果の脊髄レベルでのメカニズムを示す1つと考えられた。しかしニコチンの静脈内投与では、低用量(0.75μg)では明らかな影響を認めず、中等-高用量(7.5,15,30μg)では、一時的に数分間だけIPSCsの頻度および電流量が抑制された後に、投与前に回復するという結果が得られた。つまりニコチンの全身投与ではIPSCsには明らかな影響は認められなかった。 また低用量の選択的α2アゴニストのデキサメデトミジンにIPSCs増強作用があるこという結果を得たため詳細な検討を現在すすめている。 本研究計画以前からの研究テーマに関しても並行して取り組んだ。ミクログリアP2X_4受容体への全身麻酔薬の作用の検討では、臨床濃度のプロポフォールがP2X_4受容体を増強する結果を得た。プロトンチャネルに対する抑制作用に関する検討では、弱塩基である局所麻酔薬による細胞内pH上昇がそのメカニズムであることを明らかにし、プロトンチャネルが局所麻酔薬の膜内外の動態のモニターとして有用であることを示す結果を得た。
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Research Products
(4 results)