2010 Fiscal Year Annual Research Report
肥満および前糖尿病状態における神経障害性疼痛モデルの解析
Project/Area Number |
21592023
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
前田 武彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50271010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸岡 史郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60137255)
木口 倫一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90433341)
小林 悠佳 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20511562)
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Keywords | アディポカイン / アロディニア / 高脂肪食 / 脂肪細胞 / 生活習慣病 / レプチン / 神経障害性疼痛 / 坐骨神経 |
Research Abstract |
従来の境界型に近い定義を有する前糖尿病状態(pre-diabetes)という概念が米国で提唱され、空腹時血糖値および耐糖能により診断される。慢性的な高血糖の結果、全身の血管障害に基づく代謝異常により合併症が出現するが、その代表である糖尿病性神経障害の頻度は高く、QOLを著しく低下させる。その症候については痛みやしびれなどの陽性症状が先行し、進行すると陰性症状としての感覚低下(感覚鈍麻)が出現する。しかし、これまでに前糖尿病状態を呈するモデルを用いて末梢神経障害を検索した例はほとんどなく、発症機序と治療開発に繋がる研究が現在必要とされている。本研究では、高脂肪食を負荷することにより肥満および前糖尿病状態を惹起したマウスを用いて、神経障害性疼痛の形成を精査した。その結果、通常食を負荷したマウスに比べて、高脂肪食群では顕著な体重および脂肪重量の増加、インスリン抵抗性および高レプチン血症を示した。高脂肪食負荷マウスにおいて神経障害性疼痛の特徴的症状である触アロディニアが惹起された。一方でレプチン遺伝子を欠損するob/obマウスは肥満と耐糖能障害を呈するものの、触アロディニアを示さなかった。高脂肪食負荷マウスに対して給餌を通常食に交換すると、形成された触アロディニアは消失した。以上の結果より、高脂肪食負荷マウスは前糖尿病状態の末梢神経障害性疼痛モデルとして有用であり、高脂肪食負荷により発現上昇するレプチンがその疼痛形成を仲介することが示唆される。
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Research Products
(15 results)