2009 Fiscal Year Annual Research Report
ケタミンによる精神症状とDセリン代謝関連酵素遺伝子発現との関係
Project/Area Number |
21592026
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
竹山 和秀 Tokai University, 医学部, 准教授 (80256148)
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Keywords | ケタミン / Dセリン / セリンラセマーゼ / Dアミノ酸酸化酵素 / Ataxia |
Research Abstract |
乖離性麻酔薬ケタミンの有害作用として幻覚、妄想などの統合失調症様の精神症状を示すと報告されている。これらの症状はフェンサイクリジンなどのNMDA受容体拮抗薬の乱用によりに生じる精神症状と同様なものである。近年、統合失調症患者にDセリンを投与すると症状が緩和することが報告された。本研究では、ケタミンの有害作用である精神症状の発現と内在性Dセリンとの関連性を明らかにする目的で、ケタミンを慢性投与し脳内Dセリン代謝関連遺伝子のmRNA量、タンパク質量、およびDセリン量がどのように変化するのかを解析する。本年度の実験結果:(1)ケタミン長期投与による各脳部位の遺伝子発現変化;Wistar系雄性ラット7週齢に、ケタミン50mg/kg/dayを14日間長期投与後長期投与後、最終投与から4時間目にラット脳を海馬(Hip)、線条体(St)、大脳皮質(Cx)、中脳(Mid)、間脳(Di)、橋・延髄(PM)および小脳(Cb)の7部位に分けて摘出した。ケタミン長期投与後にDセリン合成酵素であるセリンラセマーゼのmRNAはHip、Cx、St、Diで有意に減少し、Dセリン分解酵素であるDアミノ酸酸化酵素mRNAはMidで有意に増加する結果が得られた。(2)Dセリン量変化;液体クロマトグラフィーにてDセリン量を測定した。その結果、ケタミン長期投与後にHipにおいてDセリン量が有意に増加した。(3)ケタミン単回投与後の異常行動の発現開始時間、回復時間、行動の特徴;ケタミン50mg/kg単回投与後、1分06秒から1分48秒後に運動失調(Ataxia)が現れた。10~20分後より回復傾向が見られ、35~47分後には通常と同様まで回復した。特徴的であり早くから見られる行動はAtaxiaの横倒れであった。また、行動量も有意に増加した。
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