2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺血管内皮障害と術後早期の肺血栓塞栓症の発症について
Project/Area Number |
21592027
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
渡邉 誠之 久留米大学, 医学部, 准教授 (10201196)
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Keywords | 肺血栓塞栓症 / 血管内皮障害 / 活性化血小板 / 経食道心臓超音波検査 |
Research Abstract |
【研究の目的】術中および術後の合併症として肺血栓塞栓症はいったん発症すると生命の危険を伴う重症の周術期合併症である。今回我々は特には血小板凝集抑制療法を含めた抗血液凝固療法の肺血栓塞栓症の発症に対する治療方針と治療開始時期の確立を目的とした。 【研究の成果】1.術中フルルビプロフェンアキセチル静脈内投与による血小板機能抑制効果について術中止血確認後のフルルビプロフェンアキセチル静脈内投与による血小板機能抑制効果は投与15分後には血小板凝集抑制作用が発現された。その持続時間は6時間を超えた。フローサイトメトリーによる検討でにフルルビプロフェンアキセチルによる血小板凝集抑制作用は小血小板凝集作用には影響がなく、血小板凝集塊の増大を抑制することがわかった。その作用程度はチエノピリジン系抗血小板剤とほぼ同等であることがわかった。これらにより、不安定狭心症、冠動脈ステント挿入患者など血小板凝集亢進による凝集塊が危機的状態につながる場合、また術中の肺血管内皮障害による二次性の肺血栓塞栓症である術直後の肺血栓塞栓症に対して術中からフルルビプロフェンアキセチル静脈内投与による血小板凝集抑制作用が危機的状態の発生抑制し、術中超早期の血小板凝集抑制剤の静脈内投与が即効性で効果的な治療方法である事を示した。 2.血管内皮障害は二次血栓を形成するため、カンナビノイド(アナンダマイド)誘発性細胞障害作用に対する静脈麻酔薬による障害抑制効果をヒト臍帯静脈内皮細胞で検討した。アナンダマイドは用量依存性に細胞障害を引き起こし、プロポフォールはその障害の程度を抑制した。プロポフォールはアナンダマイドの活性酸素腫の抑制と、カスパーゼ2の活性化を減じアポトーシスを抑制することが明らかになった。 静脈麻酔薬は肺血管内皮細胞障害に対して保護的に作用し、周術期肺血栓塞栓症の発生を抑制できる可能性を示唆した。
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Research Products
(1 results)