2011 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌の増殖に関与するアンドロゲン応答性遺伝子の同定と増殖関連腫瘍マーカの開発
Project/Area Number |
21592037
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
溝上 敦 金沢大学, 附属病院, 講師 (50248580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 徹 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (60467107)
三輪 聰太郎 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80507070)
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Keywords | 前立腺癌 / CAMKK2 / アンドロゲン |
Research Abstract |
アンドロゲンは癌細胞内のアンドロゲン受容体(AR)に結合した後に標的遺伝子に作用し、様々な細胞の変化を起こすが、ある標的遺伝子はARにより活性化され、またある標的遺伝子はその発現が抑制されることで、癌細胞が増殖していくと考えられる。増殖に関与するアンドロゲン応答性の標的遺伝子を同定し、その機能を解析することによって、ARのシグナルがどのように増殖へ関与していくかが明らかとなり、ひいては前立腺癌のアンドロゲン非依存性への機序や再燃癌の治療戦略を考える上での基盤を構築することを目的とした。正常前立腺組織と前立腺癌組織から得られたRNAからcDNA microarray解析を行い、がん組織で発現が亢進した遺伝子、抑制された遺伝子を同定した。これらの遺伝子のうち前立腺癌組織で発現量が高い遺伝子calcium/calmodulin-dependent protein kinase kinase 2 (CAMKK2)に焦点を当てて、様々な解析を行った。前立腺組織のTissue microarrayを用いた免疫組織染色では、癌組織にCAMKK2は発現を強く認められたが、悪性度とは逆相関の関係にあった。また、CAMKK2の発現の低い前立腺癌では、発現の高いものと比べ、ホルモン療法後早期に再燃していることが判明した。in vitroにおいて、CAMKK2はアンドロゲン感受性前立腺癌細胞株LNCaPにおいてDHTにより発現が誘導され、DHT非存在下では発現が減弱した。LNCaPのCAMKK2の発現をsiRNAでノックダウンしたところ増殖が促進された。 CAMKK2抑制により、DHTに対する感受性は上昇した。次に、CAMKK2強制発現LNCaPに導入し、CAMKK強制発現LNCaP株(LNCaP/GFP-CAMKK2)を樹立した。LNCaP/GFP-CAMKK2は非発現株LNCaP/GFPと比較し、DHTに対する感受性は低下した。in vivoにおいて、SCID mouseの皮下にLNCaP/GFP-CAMKK2を移植したところ、去勢の有無に関わらず、LNCaP/GFPよりも腫瘍の増大が抑制された。さらにCAMKK2の活性化はエネルギー代謝に関係のあるAMPKの活性化を促進していた。AMPKの活性化はDHTの働きを減弱させた。
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