2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592047
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坂野 滋 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60363107)
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Keywords | 腎癌 / 遺伝子多型 / コピー数多型 / 予後 |
Research Abstract |
淡明細胞型腎癌患者224例について、Ras association domain family 1A(RASSF1A)遺伝子の3つの遺伝子多型(133Ala/Ser, -710C/T, -392C/T)の遺伝子型およびハプロタイプと、腎癌の臨床病理学的性質および予後との関連を解析した。RASSF1A -710CTT遺伝子型は、高ステージの腎癌と有意な関連が認められた。また、RASSF1A 133Ala-710T-392Tハプロタイプと-710CTT遺伝子型は、不良な無再発生存率と有意な関連が認められた。これらの結果より、RASSF1A遺伝子型およびハプロタイプは、淡明細胞型腎癌患者の予後を予測する因子として有用であると考えられた。これらの結果を査読付英文医学誌に投稿・発表した。 淡明細胞型腎癌患者240例について、methylenetetrahydrofolate reductase (MTHFR)遺伝子の2つの遺伝子多型(C677T, A1298C)の遺伝子型およびハプロタイプと、腎癌の臨床病理学的性質および予後との関連を解析した。MTHFR A1298C遺伝子多型には、いくつかの進行腎癌の性質と有意な関連が認められた。この関連は男性患者においてより強く認められた。一方女性患者では、MTHFR C677T遺伝子多型に、いくつかの進行腎癌の性質との間に有意な関連が認められた。さらに女性患者では、MTHFR C677T遺伝子多型とMTHFR 677T-1298Aハプロタイプと、低い生存率との間に有意な関連が認められた。これらの結果より、MTHFR遺伝子型およびハプロタイプは、とくに女性において、淡明細胞型腎癌患者の予後を予測する因子として有用であり、これにより治療の個人化を実現させる可能性のあることが示唆された。これらの結果の原因として、MTHFR遺伝子多型が葉酸代謝を改変し、これによりDNA合成またはDNAメチル化に異常が起こり、これが淡明細胞型腎癌の進展に影響を与えたことが考えられた。以上のことは淡明細胞型腎癌の進展のメカニズムを解明する助けとなる可能性があることが示唆された。これらの結果を国際医学会にて発表した。 淡明細胞型腎癌患者20例および健常男女合計約40人においてコピー数多型を解析し、腎癌発症リスクに関与している可能性のあるコピー数多型を同定した。
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