2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592050
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
辛島 尚 Kochi University, 教育研究部・医療学系, 助教 (60304672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 啓史 高知大学, 教育研究部・医療学系, 准教授 (00294827)
執印 太郎 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (70128601)
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Keywords | ラミニンα1 / 腎細胞癌 / 癌胎児性抗原 |
Research Abstract |
「研究の目的」は、ラミニンα1が腎細胞癌の新規腫瘍マーカーや治療標的分子となりうるかを検討することである。細胞外マトリックスであるラミニンは、基底膜の主な構成成分である。このうちα1サブユニットは胎児組織でのみ発現し、成体組織では発現していない。我々は、特定の腎細胞癌でラミニンα1が高発現していることを確認した。ラミニンα1が新たな癌胎児性抗原として、臨床応用をめざす。 「研究実施計画」の準備段階として、ラミニンα1の機能解析をするために、簡便で安価に、かつ安定してラミニンα1の検出を行うことをとして行った。生体内でラミニンはα、β、γからなる3量体から構成されている。例えば、ラミニン1はα1β1γ1で構成されている800kDa近い巨大なたんぱく質である。まず、ポジティブコントロールとして、ヒト胎盤からラミニン1を精製したものを用い、ウエスタンブロットを行った。還元もしくは非還元下、あるいはペプシン処理などの実験環境の設定は非常に厳格に行う必要があった。結果、ラミニン1は、少なくともウエスタンブロットでは3量体では検出されず、多くは1量体で検出された。生体内でもラミニンα1が1量体もしくは2量体の形で存在する可能性が示唆された。機能解析上、またはマーカーとして検出するためには、巨大な複合体より単量体のほうが、より簡便に行えると考える。また、単量体でも何らかの機能を有している可能性もあり、今後の研究の発展性につながる。しかし、血清中では不純物が多くラミニンα1の検出には至っていない。今後、より純化した測定法の開発が要求される。
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