2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌の病態・予後と相関する遺伝子署名の同定と臨床診断への応用展開
Project/Area Number |
21592053
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (00260787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井川 昇 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (00237207)
長嶋 洋治 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (10217995)
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Keywords | 腎細胞癌 / 淡明細胞型 / 遺伝子発現 / PLTP / 予後 |
Research Abstract |
腎癌のうちもっとも頻度の高い淡明細胞型を対象に、転移と強く関連する遺伝子候補をDNAマイクロアレイ・データより粗抽出し、さらに既存のマイクロアレイ解析データおよび論文報告されている61遺伝子と比較し、予後との関連が特に強いと考えられる候補遺伝子42個を選別した。その中から淡明細胞腎癌の予後不良例で特に発現亢進している遺伝子としてPhospholipid transfer protein (PLTP)遺伝子に注目し、解析を進めた。まず定量的real-time PCR(qRT-PCR)により腎腫瘍サンプル572例でその遺伝子発現値を測定した。PLTPは病理組織型別では、淡明細胞型、乳頭状腎癌、集合管癌で発現が高く、一方遠位系腫瘍の嫌色素型、oncocytomaでは低かった。最も頻度の高い淡明細胞型520例の解析では男性、有症状群、大きい腫瘍、高stage、血管浸潤陽性群でPLTPの発現が有意に高かった。予後との関係では、淡明細胞型の全症例群での癌特異的生存、非再発生存、および進行転移症例群での癌特異的生存で、PLTP高発現が予後不良であった。また予後判定モデルである、Karakiewicz nomogram scoreと比較した多変量解析でもPLTPは独立した良好因子となっていた。一方、乳頭状腎癌ではPLTP発現と予後との明らかな関連は検出できなかった。免疫染色によるPLTPの蛋白局在は、淡明細胞型のlow grade症例では主に細胞膜に、一方high gradeではさらに細胞質に高発現と、変化がみられた。また集合管癌でも細胞質で高発現していた。一方乳頭状腎癌では癌細胞で軽度の発現とともに、間質のfoam cell(macrophage)で高発現していた。以上よりPLTPは淡明細胞腎癌で予後診断マーカーとなりうる可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)