2009 Fiscal Year Annual Research Report
光力学的診断を用いた尿中剥離腫瘍細胞の遺伝子変異解析システムの開発
Project/Area Number |
21592057
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
藤本 清秀 Nara Medical University, 医学部, 准教授 (50264867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 佳彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00133207)
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Keywords | 膀胱癌 / 光力学的診断 / 5-amminolevulinic acid / 尿細胞診 / 遺伝子 |
Research Abstract |
27例の膀胱癌患者と10例の非膀胱癌患者の尿中剥離細胞を対象に、5-aminolevulinic acid (ALA)誘導蛍光陽性細胞を検出する尿細胞診およびフローサイトメトリー(FCM)を行った。ALA濃度を200μg/mLに調整した無血清培養液に尿沈渣を溶解し、37℃で2時間暗室保温したin vitro incubation法による蛍光陽性率は、グレード別ではG1 : 50%、G2 : 67%、G3 : 82%、ステージ別ではpTa : 50%、pT1 : 64%、pTis : 100%、pT2≦ : 100%であった。膀胱癌患者20例の膀胱内で2時間保持した1.5g ALA/50mL緩衝液(ALA溶液)から回収した尿沈渣を用いたin vivo incubation法での陽性率は、G1 : 50%、G2 : 80%、G3 : 100%、pTa : 60%、pT1 : 75%、pTis : 100%、pT2≦ : 100%であった。一方、従来法の細胞診では陽性率はG1 : 0%、G2 : 50%、G3 : 100%、pTa : 20%、pT1 : 37.5%、pTis : 100%、pT2≦ : 100であった。さらに、FCMによる陽性率は、in vitro incubation法ではG1 : 50%、G2 : 55%、G3 : 80%、pTa : 40%、pT1 : 55%、pTis : 80%、pT2≦ : 100%であった。非膀胱癌患者は蛍光細胞診およびFCMともに全例陰性で、ALA誘導蛍光尿細胞診は従来の尿細胞診に比べlow grade腫瘍でも感度が高く、尿中に剥離した癌細胞の診断に有用であった。さらに、プロトポルフィリンIX封入巨大リボゾームを用いて、マイクロニクス社と共同開発した尿中異型細胞検出収集装置の検出条件や感度設定を行い、膀胱癌患者の尿中から蛍光陽性細胞の検出と回収を行ったが、今後の遺伝子解析の結果から蛍光陽性細胞の意義の解明が期待された。
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