2010 Fiscal Year Annual Research Report
尿中バイオマーカーによる前立腺癌診断および再発再燃予測
Project/Area Number |
21592059
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
深堀 能立 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90199167)
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Keywords | バイオマーカー / 尿検査 / 前立腺癌 / 再発再燃 / 予後予測 |
Research Abstract |
前立腺生検予定となった(あるいは1年以内に前立腺生検が実施され未治療の)症例に対し、直腸診(左右3ストロークずつ)後の初尿を採取し、このサンプル原液からRNAを抽出後cDNAを合成した。前立腺癌尿中マーカーの候補としてはSPINK1, GOLPH2, PCA3, TMPRSS2-ERG, TMPRSS2-ETV1, PSA, FGFR-1, FGFR2IIIb, FGFR2IIIc, p120α, pl20β, BMP-7を標的遺伝子としてPCR用のprimerおよびTaqMan probを作製した。上述のcDNA, primer, TaqMan probeを用い、リアルタイム定量的PCRを実施し、各種遺伝子の発現を定量した。遺伝子発現の定量はLaxmanらに準じて△Ct法で行い、PSAのCt値でノーマライズして尿中バイオマーカー値とした。前立腺癌群は9例、無悪性所見群は9例であった。PCA3、 GOLM1、 SPINK1、 p120α、 FGFR1についてはすべての症例に発現を認めたので、U検定にて発現度の群間比較を行ったが、有意差は認められなかった。TMPRSS2-ERG、 TMPRSS2-ETV1、 p120β、 FGFR2IIIb、 FGFR2IIIc、 hBMP-7については、発現陰性例が多かったので、発現の認められたものを検査陽性としてχ^2乗検定にて群間検定を行ったところ、FGFR2IIIcで発現の有意差(p<0.05)を認めた。欧米においては尿沈渣中のPCA3の発現検査が有用と言われているが、今回のわれわれの調査では、PCA3の有用性は認められなかった。また、欧米では多いとされるTMPRSS2-ERG等の融合遺伝子もほとんど認められず本邦と欧米では前立腺癌の遺伝子的性格が異なっている可能性が考えられた。今回われわれの発見した尿沈渣中のFGFR2IIIcの発現は、感度は55.6%と低いが、特異度が88.9%と高く、陽性的中率が83.3%、陰性的中率が66.7%と良好であり、ある程度過剰診断・治療を減少させる役割が果たせるのではないかと考えられた。また、感度の低さは癌を見逃す可能性を示唆しておりこれを補うマーカーのさらなる開発も必要であると思われた。
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Research Products
(4 results)