2011 Fiscal Year Annual Research Report
皮下脂肪細胞由来幹細胞を用いた勃起不全治療法の開発
Project/Area Number |
21592066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西松 寛明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60251295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 成喜 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80361492)
野宮 明 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30372379)
平田 恭信 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70167609)
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Keywords | 勃起不全 / 皮下脂肪由来幹細胞 / 糖尿病ラット / アドレノメジュリン |
Research Abstract |
急速に高齢化社会に構造転換している日本において、男性の生活の質を向上させる取り組みが医学的にも重要である。メタボリック症候群の初期症状として勃起不全(ErectileDysfunction,以下ED、と略す。)が認められ、逆にED男性の90%は糖尿、高血圧、高脂血症、肥満を有しており、陰茎海綿体内での海綿体平滑筋・内皮、神経の異常が全身の心臓血管系異常に先立って現れてくる。科研費研究で、我々はラットから皮下脂肪由来幹細胞;adipose tissue-derived stem cells(ASC)を安定的に誘導することに成功し、ASCが血管再生、海綿体構造再構築、勃起機能改善に有効であることを見出して特許を申請も行った。 再生医療におけるASCの利点について;1)低侵襲で大量・効率的に幹細胞を回収可能、2)自家細胞での治療が可能、感染・拒絶リスク回避(安全性)、3)iPS細胞と異なり、発癌の危険性はない、4)細胞分泌paracrinefactorsの組織修復促進効果が期待可能、5)iPS細胞は技術的、倫理的、特許の観点からまだまだハードルが高い、が挙げられる。STZによる1型糖尿病ラットを用いて、5.0×105個のSVF/MC幹細胞(刺激因子による内皮誘導型;EGM、平滑筋誘導型;EBM)を亀頭部海綿体から類洞静脈洞に注入。(1)勃起機能が幹細胞により改善することを示した。(2)糖尿病によってもたらされる海綿体構造の破綻に対して、ASC投与はこれを改善することを示した。VE-Cadherinやコラーゲンやエラスチン繊維の増生(再生)を認めた。(3)ASCが分泌するParacrineFactorとして我々はAdrenomedullin(AM)に以前より注目していたが、ASC培養上清に非常に多く存在することを確認し、AM産生を抑制させるsiRNAによりこの分泌が抑制されることを示した。AMの作用機序を大まかに列挙すると、1.細胞の遊走(マクロファージ)、分化制御、2.内皮細胞再生、抗炎症作用、血管新生の調整、3.体液量調節作用、強心作用等の多彩な生理活性を示す。つぎにこのAMのノックダウンや過剰発現が海綿体構造に与える変化を評価したところ,海綿体再生にAMがparacrinefactorとして大きく関与していることを確認できた。
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