2009 Fiscal Year Annual Research Report
下部尿路閉塞に伴う膀胱微小循環の変化と交感神経遮断薬の微小循環に対する効果の検討
Project/Area Number |
21592070
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 百万 Nagoya University, 医学系研究科, 教授 (10186900)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 徳則 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20182636)
|
Keywords | 下部尿路閉塞 / 膀胱機能障害 / 膀胱微小循環 / 膀胱血流 / 交感神経α1遮断薬 / 膀胱虚血再灌流 / 膀胱過伸展 / 前立腺肥大症 |
Research Abstract |
目的:下部尿路閉塞に伴う膀胱微小循環の変化と交感神経遮断薬の微小循環に対する効果について、膀胱虚血再灌流モデルラットを用いて検討した。さらに、慢性下部尿路閉塞(Bladder Outlet Obstruction : BOO)モデルラットでの膀胱微小循環の血流低下、すなわち膀胱虚血の発生を検討した。方法:膀胱壁毛細血管血流をpencil lens CCD microscopy system(PCLMS)により可視化し、膀胱空虚時から充満時にわたり1本の毛細血管の血流を赤血球移動速度として定量化測定した。膀胱過伸展状態を2時間維持後に膀胱を空虚として過伸展状態を解除し、膀胱虚血再灌流モデルを作成した。生理食塩水(コントロール群、n=6)あるいは塩酸タムスロシン(n=6)を1週間皮下投与後、膀胱空虚時から過伸展(膀胱容量2ml)、膀胱虚血再灌流の間、膀胱壁毛細血管の血流速度を測定した。さらに、BOOモデルラットを作成、膀胱壁毛細血管の血流を測定し、コントロールと比較検討した。結果:膀胱伸展に伴い、膀胱毛細血管内の赤血球速度は低下し、膀胱過伸展状態で毛細血管血流は停止した。過伸展解除後には毛細血管血流が再灌流したことから,膀胱虚血再灌流が膀胱過伸展、過伸展解除によって引き起こされることが示された。コントロール群では,再灌流後の毛細管血流回復は不完全であったが、タムスロシン投与群では過伸展解除後の血流が膀胱空虚自のレベルまで速やかに回復した。BOOモデルラットではコントロールに比べ、毛細血管内血流速度の有意な低下を認めた。結論:PLCMSを用いて,膀胱虚血再灌流モデルラットにおける膀胱微小循環を可視化することができた。また,塩酸タムスロシンが膀胱虚血再灌流に対する血流保護作用を有することを明らかにした。今回の結果より、塩酸タムスロシンは前立腺肥大症患者における膀胱毛細血管血流障害を抑制することで蓄尿症状を改善する可能性が示唆された。BOOモデルラットで膀胱毛細管血流が低下することが確認された。膀胱微小循環の血流低下を下部尿路閉塞に伴う膀胱機能障害治療の新しいターゲット病態として認識でき、今後の新しい治療開発の展望を得た。
|