2010 Fiscal Year Annual Research Report
下部尿路閉塞に伴う膀胱微小循環の変化と交感神経遮断薬の微小循環に対する効果の検討
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21592070
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 百万 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10186900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 徳則 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20182636)
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Keywords | 前立腺肥大症 / 下部尿路閉塞 / 膀胱血流 / 交感神経α1遮断薬 / 膀胱虚血再灌流障害 / 膀胱虚血 / 膀胱微小循環 |
Research Abstract |
前立腺肥大症では、膀胱機能の変化が蓄尿障害の原因と推測されているが、近年下部尿路閉塞に伴う膀胱機能障害の病態として、膀胱血流低下に伴う要因の重要性が指摘されている。本研究では、ラットを用いた実験により、下部尿路閉塞、膀胱過伸展による膀胱微小循環の変化について検討し、臨床において前立腺肥大症治療に用いられている交感神経α1遮断薬の膀胱微小循環に対する影響を検討することにより、同薬の膀胱機能に対する作用機序を解明することを目的としている。平成22年度の研究では、SD系雌性ラット12週を用い、尿道の部分結札による下部尿路閉塞(BOO : Bladder Outlet Obstruction)を作成し、膀胱重量の変化、膀胱容量の検討、PCLMSによる膀胱微小循環の変化を検討するとともに、α1Aおよびα1Dサブタイプに親和性の強いα1遮断薬(塩酸タムスロシン)を用いて、膀胱微小循環に対する影響(膀胱粘膜毛細血管の血流速度に対する影響)を検討した。BOO群は、生理食塩水投与群(コントロール、n=18)とタムスロシン投与群(n=13)の2群に分けて検討した。BOO(コントロール)群では、シャム群に比べて膀胱重量は有意に増加し、膀胱容量は有意に低下した。膀胱血流は、BOOコントロール群で、シャム群に比べ有意に低下したが、BOOタムスロシン投与群では、コントロール群に比べて有意に増加した。今回の検討より、下部尿路閉塞によって引き起こされる膀胱血流障害は、α1遮断薬投与により改善することが示され、臨床的には前立腺肥大症における蓄尿障害が、α1遮断薬投与により、膀胱血流障害の改善を介して緩和されることが示唆された。
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Research Products
(5 results)