2011 Fiscal Year Annual Research Report
下部尿路閉塞に伴う膀胱微小循環の変化と交感神経遮断薬の微小循環に対する効果の検討
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21592070
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 百万 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10186900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 徳則 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20182636)
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Keywords | 下部尿路閉塞 / 膀胱機能障害 / 膀胱微小循環 / 膀胱血流 / 交感神経α遮断薬 / 膀胱虚血再潅流 / 膀胱過伸展 / 前立腺肥大症 |
Research Abstract |
目的:下部尿路閉塞(bladder outlet obstruction: BOO)で発生する膀胱機能障害の病因を膀胱微小循環の面から解析し、新しい薬剤開発のターゲットを検討した。方法:ラットで膀胱過伸展モデル、膀胱虚血再灌流モデル、下部尿路閉塞モデルを作成し、ペンシル型CCD生体顕微鏡により膀胱壁微小循環を解析した。膀胱壁毛細血管血流をペンシル型CCD生体顕微鏡により可視化し、1本の毛細血管血流で赤血球移動速度として定量化測定した。下部尿路閉塞に伴う膀胱微小循環の変化と交感神経遮断薬の微小循環に対する効果については、膀胱過伸展モデルラット、膀胱虚血再灌流モデルラットを用いて検討した。また、BOOによる膀胱血流障害については、BOOモデルラットを用いて検討し、さらに2種類のα1受容体サブタイプに対する親和性の異なるα1遮断薬(タムスロシン、シロドシン)の膀胱虚血に対する効果を検討した。結果:膀胱伸展に伴い、膀胱毛細血管内の赤血球速度は低下し、過伸展状態で毛細血管血流は停止した。過伸展解除後には血流が再灌流したが血流障害が発生し,膀胱虚血再灌流障害が膀胱過伸展、過伸展解除によって生じることが示された。コントロール群では,再灌流後の毛細管血流回復は不完全であったが、タムスロシン投与群では過伸展解除後の血流が膀胱空虚時のレベルまで速やかに回復した。BOOモデルラットではコントロールに比べ、毛細血管内血流速度の有意な低下を認めた。また、タムスロシン、シロドシンいずれのα1遮断薬も下部尿路閉塞によって引き起こされる膀胱虚血をコントロールに比べて有意に改善した。結論:下部尿路閉塞による膀胱過伸展により、膀胱血流障害が発生し、膀胱機能障害を起こすことが示唆された。さらに、交感神経α1A受容体の投与により、下部尿路閉塞による膀胱血流障害が予防でき、下部尿路閉塞による膀胱機能障害を改善することが示唆された。
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