2011 Fiscal Year Annual Research Report
院内感染症としての多剤耐性緑膿菌尿路バイオフィルムの病原的意義
Project/Area Number |
21592073
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
狩山 玲子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40112148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 慎也 岡山大学, 岡山大学病院, 講師 (30379739)
苔口 進 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10144776)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 緑膿菌 / 多剤耐性菌 / バイオフィルム / 分子疫学 / 院内感染対策 / 新規治療法 |
Research Abstract |
メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生菌を含む多剤耐性緑膿菌は、ほぼ全ての抗菌薬に高度耐性を示す傾向が強く、院内感染対策上、特に留意する必要がある。そこで、バイオフィルム形成能が高い多剤耐性緑膿菌の拡散防止のための方策を確立することを主要な目的として基礎的研究を遂行した。 1・岡山県内5施設で2001~2011年に分離された尿由来MBL産生緑膿菌30株のMLST (multilocus sequence typing)を行った結果、全株がST235であった。インテグロンカセットタイピングでは、2タイプの存在が確認された。ST235クローンは国際的に広く拡散している多剤耐性緑膿菌であるが、本研究において得られたバイオフィルム形成能に関する実験データならびにパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法での解析において、それぞれの菌株は多様な性状を示した。 2-緑膿菌クオラムセンシング(細胞密度依存的)機構の阻害剤(QSIs)として見出された4化合物について、リアルタイムin vivoイメージングシステム(IVIS^[○!R] Lumina)を使用して、緑膿菌マウス大腿部感染モデルにおける有効性評価を行った。その結果、in vitro実験系でバイオフィルム形成阻害効果が比較的高かった化合物(QSI-1)とカルバペネム系抗菌薬(ビアペネム)との併用で、カルバペネム系抗菌薬に中等度耐性を示す株に対しても抗菌活性が増強することを確認した。 3.平成22年度末(平成23年2月4日)に特許を取得した新規マイクロデバイス(特許第4674337号)を用いるフローセルシステム(尿路バイオフィルムin vivo実験モデル系)において、多剤耐性緑膿菌に対して有効とされる抗菌薬(コリスチン)と既存の抗菌薬(レボフロキサシン、ホスホマイシン)や上記QSI-1との併用効果を検討した結果、新規治療法の可能性を示唆するデータが得られた。
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Research Products
(11 results)