2009 Fiscal Year Annual Research Report
セルトリ細胞の分化・成熟と、雄性生殖器の発生および精子形成との関わり
Project/Area Number |
21592081
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
林 祐太郎 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (40238134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 祥敬 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60305539)
水野 健太郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (70448710)
黒川 覚史 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (50468253)
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Keywords | 精巣 / 生殖細胞 / セルトリ細胞 / グルコース / レーザーマイクロダイゼイション |
Research Abstract |
SRY遺伝子の発見以来、ほ乳類の性分化に関わる候補遺伝子がいくつか報告されているが、それらの機能的な結びつきは明らかにされていない。セルトリ細胞は性分化に重要であるのみならず、出生後の精子形成に至るまで生殖細胞を支持・栄養している。近年、SRY遺伝子をはじめとする性分化カスケードの中で、セルトリ細胞内にグリコーゲン顆粒の蓄積が認められることが報告された。また、変異マウスの解析からインスリンシグナル伝達系が精巣分化に必要であることや、生殖細胞のin vitro誘導系において培養液中グルコース濃度が低いと細胞分化が抑制されること等が明らかにされている。 これまで私達は、生殖細胞特異的に発現するMvh遺伝子座にGFP, lacZ遺伝子をknock-inしたES細胞株を利用して、生殖細胞分化を可視化できる系を研究に用いてきた。通常、この培養は高グルコース濃度(25mM)培地で行われるが、効率のよい培養条件を検討する上で、低グルコース濃度(5.6mM)では生殖細胞形成が阻害されることを見出した。2つの異なる条件下で発現差を示す遺伝子としてTxnip・Pttg・RuvB12遺伝子を見いだした。このうち特に発現差の大きかったTxnip遺伝子は性分化後の胎生12.5日頃から性腺に発現を認め、成熟精巣に至るまでセルトリ細胞に発現を認めている。 本年度は、セルトリ細胞におけるTxnip遺伝子機能を解析するため、マウスセルトリ細胞株であるTM4を用いて実験を行った。高グルコース濃度(25mM)培地、低グルコース濃度(5.6mM)培地でそれぞれ48時間培養を行ったところ、高グルコース濃度ではTxnip遺伝子発現が有意に増加していた。Txnip遺伝子はレドックス制御の主要因子であるThioredoxinと結合し、その働きを阻害する細胞質タンパク質と考えられている。高グルコース濃度に比べ、低グルコース濃度では細胞増殖が抑制されており、Txnip遺伝子を介したエネルギー代謝が細胞増殖に何らかの影響を与えた可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)