2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規ガンマラクトン化合物とサイトカインにより誘導される腎固有の修復再生機構の解明
Project/Area Number |
21592083
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
石橋 道男 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40107032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 清秀 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264867)
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Keywords | 急性腎障害修復と再生 / マクロファージ / rBAT heavy chain of heterodimeric aminoacid transpoter / ガンマラクトン化合物 / 一側尿管閉塞・解除腎モデル |
Research Abstract |
腎組織障害時に腎固有の修復・再生に関わる機構が存在することを解明するための研究であるが、新規ガンマラクトン化合物(#1376)は、U937をヒトTNF-βと#1376でそれぞれ刺激し6-7日間培養するとアミノ酸トランスポーターのうちheterodimeric aminoacid transporter(HAT)heavy chainのrBATを後者が惹起する。一側尿管閉塞解除(UUO-release)モデルを用い、#1376とrat rTNF-alphaを投与した治療群では解除7日目のs-Cr値が平均1.4mg/dlと対照群の2.28mg/dlと優位な回復を示し、治療群の修復尿細管にはrBATの強い発現がみられた。これら新しい治療法をうけた一側尿管閉塞解除腎の病理学的検討をおこなったところ、乳頭部近傍に著明な増殖きたした細胞集団、clustering cellsが共通して観察された。興味ある所見としては、細胞集団として糖鎖結合レクチンPHA-4Eをマーカーとする血管新生が多く誘導されていること、おなじく糖鎖結合レクチンであるgalectin-3とrBATを発現する細胞が血管新生周囲に優位に存在したことである。galectin-3は抗アポトーシス活性と血管新生誘導能を有することが知られ、rBATは細胞の生存と増殖に関わる可能性がある。以上より、乳頭部近傍に著明な増殖きたした.rBAT陽性細胞をふくむ集団は、"修復能を有する細胞群"の可能性と、乳頭部近傍の血管束に局在して認められたことからその部位が"niches"となっている可能性が示唆された。本研究の最終年度には、当初から予定した"修復能を有する細胞群"を一側尿管閉塞解除(UUO-release)モデルに移入し、病変の軽減が誘導されるかを検討する。
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